川崎市麻生区に「関東の高野山」と称される麻生の古刹、真言宗豊山派の寺院「星宿山王禅寺」はある。寺紋は三つ葉葵で創建(伝)は天平宝字元年(757)。孝謙天皇の勅命によって某大徳が聖観音像を当地に祀ったことが興りで、称名寺末寺として禅・律・真言の三宗兼学の道場として栄えた。本尊は聖観世音菩薩。「王禅寺ふるさと公園」脇より「正門」を抜けた右側に重厚な構えをした「仁王門」(山門)が構えられている。「仁王門」の正面に寺号標、石段を上ると樹木に覆われ静かな佇まいを感じさせる「観音堂」、右に進むと威風堂々とした入り母屋造りの「本堂」、その脇に「庫裡」がある。本堂前には「禅寺丸像」、手入れされた寺庭には「薬師如来堂」、「六地蔵」、「石碑」がある。「本堂」前には日本最古の甘柿の品種で「かながわの名木100選」にも選ばれ、「柿生」の地名となった「禅寺丸柿」の原木がある。当寺は「王禅寺に憩う」を執筆している北原白秋をはじめ、多くの文人が訪れている。当寺は旧小机領三十三観音霊場22番札所であり、「関東の高野山」と呼ばれる格式の高さが随所に感じられる。(1909)