伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

YouTube革命

2007-02-04 16:10:38 | ノンフィクション
 動画共有サイトの勝ち組YouTubeの紹介本。テレビや著作権管理団体との確執、YouTubeと提携・利用を選択するメディアの戦略等を論じています。
 これだけコンテンツが増えると、自分の興味で検索してヒットする映像でなければ見ていられないというネットの現状からすると、検索機能の付いた動画共有サイトが人気沸騰するのは、当然のこと。テレビ局の都合で決められた時間にテレビ局が見せたいものにつきあっているほど暇じゃないし、今時のテレビの「情報番組」の信頼度なんてインターネットの有象無象の情報と大差ないことがわかってきましたし・・・。
 ただ著者が指摘するように、日本のユーザーの投稿には窮地にある人や何らかのミステイクを犯した人をさらし者にしたり揶揄したりするようなコンテンツが少なくない(91頁)のは残念。マスコミが取りあげてくれない企業の不正の告発に利用された例(58~59頁)とか、そういう利用が増えるとすごくいいと思うんですが。


神田敏晶 ソフトバンク新書 2006年12月26日発行
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インドカレー伝

2007-02-04 00:47:40 | 人文・社会科学系
 インドの代表的な料理とイギリスや外国で考えられている料理の生まれた経緯や変容をテーマに近代インドの風俗と歴史を描いた本。「インドカレー」が実はインドに古くからあるものではないことを多方面から語っています。
 まずは、ムガル帝国時代、イスラム文化の繁栄する中央アジアと比べて不毛の地で菜食主義中心のインドに肉料理やプラオ(ピラフ)の文化をもたらしたのがムガル料理であったこと。インドでは古来香辛料は黒胡椒中心だったところにポルトガル人が新大陸から唐辛子をもたらし、これが栽培・保存が容易なことから安く入手でき庶民に支持されて普及したこと。それらの要素を取り込んでインド各地で様々な香辛料を用いたスープ料理が発達したのをイギリス人が「カレー」と総称してイギリスに紹介し、これがイギリス人がほとんど味付けのない当時のイギリス料理に飽きていたことと帝国・植民地への郷愁から支持されたこと。しかし、その際、インドでの料理と違って、冷めた肉の使い回し方法とされたり、カレー粉や小麦粉を使うという形で伝わり、インドでの料理とはかなり違うものになったこと・・・。
 また、今ではインドが最大の産地で大消費地になっている紅茶は、イギリス人がインドに伝え、売り込んで紅茶を飲む習慣を広めたのだそうです。知りませんでした。
 この手の料理の由来を語る本では、レシピを載せるのもいいんですが、やはりその料理の写真(できるだけカラー)をつけて欲しいなと思います。


原題:Curry a biography
リジー・コリンガム 訳:東郷えりか
河出書房新社 2006年12月30日発行 (原書は2005年)

追伸:朝日新聞が2007年3月4日朝刊に書評掲載
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