伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

ザンジバルの笛

2007-02-08 22:10:47 | 人文・社会科学系
 東アフリカの小さな(といっても佐渡島の2倍くらいの)島ザンジバルの文化と歴史を解説した本。
 ザンジバルは今はタンザニアの一部に過ぎないけれど、インド洋の海洋貿易の盛んな時代は、ザンジバルの王や商人が東アフリカ一帯のスワヒリ文化圏、内陸のタンガニーカ湖のさらに西側までを支配していたそうです。
 ザンジバルの王族は遠くペルシャのシーラーズから渡ってきたとか、インドの商人と貿易が盛んだったとか、19世紀にはオマーン(アラビア半島の北東部)の王族がザンジバルを支配し、ストーン・タウン(世界遺産指定済だそうです)を建設したとか、ロマンを感じさせる話が紹介されています。そのような歴史から、住民にアラブ系、インド系、アフリカ系が入り交じり、盛んだったクローブ農園の利権をめぐって対立したりして、政治的には難しいみたいですけど。そのあたりの著者の専門の現代史部分はちょっと小難しいですが、海洋貿易盛んな頃の話や風土・文化の紹介が魅力的です。
 タイトルに使われ、はじめにで取りあげている「ザンジバルで笛ふけば、湖水の人びとが踊りだす」の俗謡のなぞが、最後まで読んでも解明されないのはちょっと不満が残りましたけど。


富永智津子 未来社 2001年4月20日発行
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする