伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

えんぴつ1本ではじめるイラスト手習い帖

2007-02-12 17:09:57 | 趣味の本・暇つぶし本
 イラストの描き方の入門書。
 こういうのっていかにもきれいな絵だと入門書になりにくいのですが、サンプルの絵がかなりラフなので、なんか描けそうな気になるのがいいですね。ラフな絵なのに人の表情とか犬とか猫とかちゃんとわかるのが不思議。そこにプロのテクがあるわけです。
 人の姿勢も骨格からイメージして描くのは、レオナルド・ダ・ヴィンチの時代からのお約束ですが、いかにも精緻なデッサンではなく落書きっぽい絵でもそれが示されてそれに注意して描くと、それらしく見えることがわかります。
 犬の絵と猫の絵の違いとかもコンパクトに示されていてふ~んと思います。


兎本幸子 エムディエヌコーポレーション 2006年5月21日発行
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ペギー・スー ドラゴンの涙と永遠の魔法

2007-02-12 09:09:13 | 物語・ファンタジー・SF
 ペギー・スーシリーズの第7巻。14歳の「普通の」少女ペギー・スーが、宇宙のかなたの惑星ザントラに入植した地球人の末裔の幽霊に導かれてザントラに行き、ドラゴンの涙を飲み続けなければ怪物(狼)に変身してしまうという問題を解決することを求められるというお話。ストーリーは例によって荒唐無稽で、ペギー・スーと青い犬、恋人のセバスチャンらが様々な冒険をします。
 その中で、この巻では、怪物になるくらいなら毒を飲んで石像になりたい/なるべきだという人びとと、ドラゴンに依存するよりも怪物になって生き続けるべきだという人びとの対立が描かれていて、けっこう考えさせられます。しかも作者の視点はシニカルで、石像派の支配者は実は怪物になっても治す方法があることを知りながら自己の権力を維持するためにそれを拒否し人びとにはそれを隠したままむざむざ多くの人びとを怪物化したり石像化するのを放置しているし、怪物派の人びとも怪物になって力を持ち力を行使することの快感に酔いしれた人びとと描いています。どちらにも正義がないわけです。その上、ペギー・スーらが怪物になったセバスチャンや石像になった人びとを元の姿に戻しても、セバスチャンは「怪物だったとき、僕は毎日わくわくしていた」「あんな力が内側で煮えたぎる経験なんて想像もできないさ」(289~290頁)と言って勝手に助けたことを罵り、石像だった人びとも「石像でいることが、どれほど心地よかったか!」(310頁)と言って怒ります。その意味ではペギー・スーにも正義があるのかという問いかけが残ります。ファンタジーの枠組みを超えて、人間の愚かさ・思い上がりを、そして生き方を考えさせるような問題提起があるように感じます。この巻はちょっと対象年齢が上がっているのかなと思えます。


原題:PEGGY SUE ET LES FANTOMES : La Revolte des Dragons
セルジュ・ブリュソロ 訳:金子ゆき子
角川書店 2007年1月31日発行 (原書は2005年)
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