59歳男性作家が、2度の離婚の末、21歳銀座のホステスを愛人にしつつ、再婚はしないで囲っていたが、ホステスに愛人ができて三角関係になり、体で満足させられなくなったと悟り、肉体関係を持たずに愛人関係を続けようとするに至る13年間を描いた小説。
前半は、老人男の願望を絵に描いたような話で、38歳年下のホステスとの赤裸々な肉体関係の話。そうしながら結婚したいというホステスを、老い先短い身だから若い女性を拘束しちゃいけないなどと、白々しい理屈でかわし続けます。そうしているうちに寂しくなったホステスに愛人ができると嫉妬に煩悶します。タイトル通りの老醜ですね。それでも若いホステスへの未練が募って三角関係の下で肉体関係を続けるのですが、ホステスが愛人からSM嗜好を植え付けられ、それを望むようになったのを知り、自分はホステスを満足させられないと悟って肉体関係は絶つことにします。しかし、それは性欲が抑えられたからではなく、敗北を再確認することを自尊心が許さないため。
主人公が時折語るきれいごとと実態が終盤まであわず、人間、いつまでたっても老いてもきれいに悟ることはできず見苦しく妄執を持ち続けるもの、というのがテーマでしょうか。主人公の生き方には、ここまで言うのなら、最初の段階で再婚してしまうか、さっさと身を引けばいいのにと思い、読んでいていらだたしいですが、それができないのが人生なんだよって、作者は言いたいんでしょうね。
勝目梓 文藝春秋 2007年1月30日発行
追伸:朝日新聞が4月29日付で書評掲載
「最後は実にしみじみと綴られていて静かな感動を覚えるほど」「見逃すな!」と絶賛しています。そんなに媚びる価値ありなんでしょうか。
前半は、老人男の願望を絵に描いたような話で、38歳年下のホステスとの赤裸々な肉体関係の話。そうしながら結婚したいというホステスを、老い先短い身だから若い女性を拘束しちゃいけないなどと、白々しい理屈でかわし続けます。そうしているうちに寂しくなったホステスに愛人ができると嫉妬に煩悶します。タイトル通りの老醜ですね。それでも若いホステスへの未練が募って三角関係の下で肉体関係を続けるのですが、ホステスが愛人からSM嗜好を植え付けられ、それを望むようになったのを知り、自分はホステスを満足させられないと悟って肉体関係は絶つことにします。しかし、それは性欲が抑えられたからではなく、敗北を再確認することを自尊心が許さないため。
主人公が時折語るきれいごとと実態が終盤まであわず、人間、いつまでたっても老いてもきれいに悟ることはできず見苦しく妄執を持ち続けるもの、というのがテーマでしょうか。主人公の生き方には、ここまで言うのなら、最初の段階で再婚してしまうか、さっさと身を引けばいいのにと思い、読んでいていらだたしいですが、それができないのが人生なんだよって、作者は言いたいんでしょうね。
勝目梓 文藝春秋 2007年1月30日発行
追伸:朝日新聞が4月29日付で書評掲載
「最後は実にしみじみと綴られていて静かな感動を覚えるほど」「見逃すな!」と絶賛しています。そんなに媚びる価値ありなんでしょうか。