伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

「格差社会」を乗り越える子どもの育て方

2008-06-01 08:20:05 | 人文・社会科学系
 自由競争至上主義で自己責任・自助努力と称してセーフティネットを切り縮めて格差を拡大し続ける日本社会で今から子どもを育てるにはというテーマの教育論。
 テーマ設定からすでに方向性が予測されますが、著者の主張の基本は、格差社会を上手に生き抜ける力のある子どもにするとともに自分だけが幸せになることを目指したくない・格差社会を是正すべきだという意思を持つ子どもに育てる必要があるということです(13~15頁)。具体的には異文化や異質なものに適応でき関心を持てること、自分で考える自主性を持つこと、自分が人の役に立っているという実感を持てることが大事だと述べています。
 著者によれば、「ほめる子育て」はほめられるためにいつも頑張らなきゃと思い人の評価を気にしすぎて神経質な子どもになってしまう、本当に努力したときだけ頑張ったねと言ってやればいい、むしろ自分らしく生きていることを全体として肯定してやれということだそうです(104~106頁)。それは考えさせられますね。人間は隣人が幸せになれないと自分も幸せになれないという本能のようなものがある(14頁)という主張とあわせ、かみしめたいと思います。


汐見稔幸 主婦の友社家庭人BOOKS 2008年4月30日発行
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