一卵性双生児の美月と遥花、美月の失踪を機に微妙になる美月の夫真也と遥花、真也の一卵性双生児の弟で遥花と交際・結婚する雄也の関係をめぐる小説。
美月の失踪が、残された人々の関係に与える影響を中心に描いた人間関係劇で、その発端というか最後まで影を落とし続ける美月の失踪の真相は、結局謎が解かれません。ミステリーとして読むと、そこに欲求不満が残ります。まぁ美月の失踪自体は、舞台回しの小道具というところでしょう。
関係者の愛憎ドラマとともに、人の欲望をくすぐる匂い、香水が大きなテーマになっています。嗅覚は、5感のうちで最も本能に近いとよく言われますが、真也のフェティシズムともいえる美月の匂いへのこだわりとそれを求めてとる恥も外聞もない行動、精神の崩壊を見ていると恐ろしく感じます。
主要登場人物が、悪人でもなく、さりとてさほど魅力を感じさせない中、鍵となるオーダーメイドの究極の香水を調香する「香りの魔術師」鳴水馨が、怪しげな輝きを持っています。作者が気に入ったら、香りの魔術師シリーズなんてことになるのかも・・・
上田早夕里 光文社文庫 2008年4月20日発行
美月の失踪が、残された人々の関係に与える影響を中心に描いた人間関係劇で、その発端というか最後まで影を落とし続ける美月の失踪の真相は、結局謎が解かれません。ミステリーとして読むと、そこに欲求不満が残ります。まぁ美月の失踪自体は、舞台回しの小道具というところでしょう。
関係者の愛憎ドラマとともに、人の欲望をくすぐる匂い、香水が大きなテーマになっています。嗅覚は、5感のうちで最も本能に近いとよく言われますが、真也のフェティシズムともいえる美月の匂いへのこだわりとそれを求めてとる恥も外聞もない行動、精神の崩壊を見ていると恐ろしく感じます。
主要登場人物が、悪人でもなく、さりとてさほど魅力を感じさせない中、鍵となるオーダーメイドの究極の香水を調香する「香りの魔術師」鳴水馨が、怪しげな輝きを持っています。作者が気に入ったら、香りの魔術師シリーズなんてことになるのかも・・・
上田早夕里 光文社文庫 2008年4月20日発行