派手でわがままで男出入りの多い双子の姉華子と同居する地味で自己主張しない慎重で優柔不断な弟冬治の視点から、華子と男友達、冬治と女友達の関係を描いた恋愛青春小説。
最初の方では、語り手は冬治とはいえ、人物造形からは華子の存在感が大きく、実質的には華子が主役の恋愛小説でしたが、これがいつの間にか語り手冬治の、女性にも自らの進路にも優柔不断なウジウジ語りの青春小説になっていきます。登場人物は同じなんですが、前半と後半で作品の指向がずいぶん違う感じ。
登場人物の多くがどこか不安を持っていて、優しげだけど時に感情に走りという要素を持っていて、読んでいて親近感・現実感を持つとともにスッキリともしない、そんな感じです。それが、全体のストーリーが一本通った感じでないことで増幅されているように思えました。なんとなく読むにはいい感じではあるのですが。

島本理生 角川書店 2007年11月12日発行
最初の方では、語り手は冬治とはいえ、人物造形からは華子の存在感が大きく、実質的には華子が主役の恋愛小説でしたが、これがいつの間にか語り手冬治の、女性にも自らの進路にも優柔不断なウジウジ語りの青春小説になっていきます。登場人物は同じなんですが、前半と後半で作品の指向がずいぶん違う感じ。
登場人物の多くがどこか不安を持っていて、優しげだけど時に感情に走りという要素を持っていて、読んでいて親近感・現実感を持つとともにスッキリともしない、そんな感じです。それが、全体のストーリーが一本通った感じでないことで増幅されているように思えました。なんとなく読むにはいい感じではあるのですが。

島本理生 角川書店 2007年11月12日発行