一般人が月や火星、木星の衛星などに宇宙旅行するとした場合を題材として、宇宙飛行士を襲う様々な危険を解説するというスタイルの宇宙入門書。
宇宙は空気・水がない、大気がないために寒暖の差が激しいというところまではすぐに考えられますが、それを超えて様々な予想外の危険があることが紹介されています。
木星の衛星イオでは火山活動が活発で突然の噴火や地震の危険があるが、大気がないので音がなく音で危険を察知できない。惑星・衛星の乾燥した表面は微細な塵の層が厚く、歩くだけでかなりの電荷(静電気)を生じ電子機器の破損や人体へのショックの危険があり、未知の有害物質や病原体が潜んでいる可能性がある。大気がないから小さな石や粒子も減速・燃焼することなく衝突してきて致命傷を与えかねないなど・・・。
特に目を引くのは放射線の恐怖。地球上では地球の磁場ではじかれて地表に到達しない銀河宇宙線(GCR)や太陽荷電粒子が、宇宙では防ぎようがない。太陽活動が活発な時期はGCRが弱まるが太陽荷電粒子の危険が高まり、太陽活動が弱まったときはGCRが強まる、たまたま太陽荷電粒子線が自分の方に向かってきたら致命的だそうな。宇宙ステーションなどの地球周回軌道では地球の周囲の磁場のために高エネルギー粒子が集中しているヴァン・アレン帯を通過するが、このヴァン・アレン帯の内帯の放射線量は地表の数百万倍で、ヴァン・アレン帯の通過時間をいかに減少させるかが課題となっているとか。
他にも微少重力や1日のリズムのズレへの人体の適合の問題や微少重力下での筋力の低下、地球へ帰還した時のリハビリ等の生物学的な問題、メンタルヘルス面での問題なども採り上げられています。
なかなか想像が及ばない領域も含めて、宇宙の環境と技術についていろいろと考えることができる知的な刺激に満ちた本でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_en2.gif)
原題:The Hazards of Space Travel : A Tourist’s Guide
ニール・F・カミンズ 訳:三宅真砂子
ソフトバンククリエイティブ 2008年4月28日発行 (原書は2007年)
宇宙は空気・水がない、大気がないために寒暖の差が激しいというところまではすぐに考えられますが、それを超えて様々な予想外の危険があることが紹介されています。
木星の衛星イオでは火山活動が活発で突然の噴火や地震の危険があるが、大気がないので音がなく音で危険を察知できない。惑星・衛星の乾燥した表面は微細な塵の層が厚く、歩くだけでかなりの電荷(静電気)を生じ電子機器の破損や人体へのショックの危険があり、未知の有害物質や病原体が潜んでいる可能性がある。大気がないから小さな石や粒子も減速・燃焼することなく衝突してきて致命傷を与えかねないなど・・・。
特に目を引くのは放射線の恐怖。地球上では地球の磁場ではじかれて地表に到達しない銀河宇宙線(GCR)や太陽荷電粒子が、宇宙では防ぎようがない。太陽活動が活発な時期はGCRが弱まるが太陽荷電粒子の危険が高まり、太陽活動が弱まったときはGCRが強まる、たまたま太陽荷電粒子線が自分の方に向かってきたら致命的だそうな。宇宙ステーションなどの地球周回軌道では地球の周囲の磁場のために高エネルギー粒子が集中しているヴァン・アレン帯を通過するが、このヴァン・アレン帯の内帯の放射線量は地表の数百万倍で、ヴァン・アレン帯の通過時間をいかに減少させるかが課題となっているとか。
他にも微少重力や1日のリズムのズレへの人体の適合の問題や微少重力下での筋力の低下、地球へ帰還した時のリハビリ等の生物学的な問題、メンタルヘルス面での問題なども採り上げられています。
なかなか想像が及ばない領域も含めて、宇宙の環境と技術についていろいろと考えることができる知的な刺激に満ちた本でした。
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原題:The Hazards of Space Travel : A Tourist’s Guide
ニール・F・カミンズ 訳:三宅真砂子
ソフトバンククリエイティブ 2008年4月28日発行 (原書は2007年)