伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

頼むから、ほっといてくれ

2013-03-22 22:47:24 | 小説
 トランポリンのオリンピック日本代表選手とそのライバルたちの少年時代から青年期、社会人時代と引退、その周辺のコーチや審判員、協会の広報担当者らの人生の選択と思いを切り取る形でつなぐ短編連作群像劇風の小説。
 競技での、そして人生での勝者と敗者、ある局面での選択とそれについての思いを、それぞれの視点から描いたショートストーリーで、ちょっと鼻がツンとくるような切なさを感じさせてくれます。その切り口は、巧いなぁと思います。
 他方、連載でもないのに、視点と時期が跳んでいるのは、読んでいて生まれた感情と感傷がぶつ切りになり居心地の悪さを感じさせます。スポーツをテーマにしていながら、大一番の競技会のクライマックスの描写を避けているのは、あさのあつこの「バッテリー」同様、スポーツではなくスポーツの選手・関係者の人間を描きたいんだという主張でしょうけれど、読者としてはフラストレーションがたまります。


桂望実 幻冬舎 2012年8月1日発行
コメント
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