伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

新・現代アフリカ入門 人々が変える大陸

2013-08-07 23:14:20 | 人文・社会科学系
 アフリカ諸国の独立後の政治経済情勢について、欧米政府・国際機関・外国企業の「支援」・「援助」や「構造調整」の要求がアフリカの人々のためになるのか、公正なのかという視点を中心に論じた本。
 多くの国で、地域の実力者の群雄割拠型の内戦が続き休戦合意ができても不満分子が残って戦闘が完全には終了せず、内戦下で支配地域の鉱物資源の不法な輸出による莫大な利益を私物化できることから平和がなかなか訪れず、人々の貧困・飢餓が深刻化してきたということが説明されています。
 貧困・飢餓の解決に向けての農業援助も、アジアで成功したとされる「緑の革命」をそのまま持ち込もうとするが、アフリカの実情に合わず、外国企業のビジネスが優先され、例えば除草剤とセットされた遺伝子組み換えトウモロコシの栽培によって他の農作物との混合栽培ができずできたトウモロコシも味が悪く飼料にしかならないというような事例が紹介されています。
 先進国・国際機関が求める「構造調整」も結局は、貿易自由化を強制することで製造業をほぼ壊滅させて外国製品の輸入を増やし、公営企業の民営化を促進させるということでとりわけ通信と金融を外国企業に支配させる結果を生んでいると指摘されています。
 アフリカについては、1960年代の独立の後、現在に至る部分は、あまり語られることもなく、私はよく知りませんでした。各国で事情が異なるところがあり、この本の説明も、切れ切れであったりして網羅的な充分なものとはいえませんが、アフリカの事情についてある程度のイメージを持つことができ、勉強になりました。


勝俣誠 岩波新書 2013年4月19日発行
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