伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

女たちの韓流 韓国ドラマを読み解く

2013-08-11 20:54:11 | 人文・社会科学系
 女性学研究者が韓国のテレビドラマ25編について、貧しさと暴力に耐える女たちを描いたもの、血縁と性別役割に縛られた家族の中の女たちを描いたもの、戸主制の問題(親権・子の氏)を描いたもの、少子化時代の子育て・お受験を描いたもの、したたかな女たちを描いたもの、社会で活躍する女たちを描いたものなどに分類して評価し紹介した本。
 私はテレビドラマはまず見ないので、聞いた話で韓流ドラマというと、俺様男とけなげな男に挟まれて悩むヒロインみたいな構図の恋愛ものが中心かと思っていましたが、そうでもないのですね。
 著者が女性学研究者なので、男たちの血縁意識と性別役割分業意識、女性主人公がこれとどう向き合い闘い打ち破るかという視点での分析評価が多くなっています。韓国社会では、日本よりもさらに血縁意識が強く、性別役割意識が強くて女性が生きにくいと、思われるのですが、かつて韓国を軍事独裁の国と捉えていた私たちの世代は、韓国の民主主義は遅れているというイメージを持っていましたが、今では民主化の度合いは日本などよりよほど進んでいるように思えます。古い家・血縁意識や性別役割分業観でも、いつの間にか韓国よりも日本の方が酷いということになっているかもしれません。復古調の人々が圧倒的に強い政権を取ってしまった今、そのことは特に心しておきたいところです。


山下英愛 岩波新書 2013年5月21日発行
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