恋愛小説の売れっ子作家にして好色のモテ男山野内正慶の娘山野内荒野が、中学入学の日に一目惚れした同級生神無月悠也に思いを寄せつつ、荒野を育ててくれた家政婦の奈々子(実は父の愛人)が追い出され、父が悠也の母神無月蓉子と再婚し、その後も浮気は続きといった父親をめぐる女性関係に悩まされ、年上の彼がいるスポーツ万能の麻美、人目を引く美少女で実は同性愛者の江里華たち親友や、荒野に思いを寄せる同級生阿木との関係に振り回され癒されながら成長していく青春小説三部作。
受け身で接触恐怖症の12歳の荒野が、大人たちの修羅場や悲嘆にも動じないで受け止められる16歳へと成長していく様子が全体を通してのテーマになっています。いつも大人の女性(奈々子・蓉子)に迎えられ動揺したり緊張したりだった荒野がラストシーンでは泣き崩れる大人の女性を迎えるという描写が象徴的です。
1巻と2巻で作り上げた浮気を続ける父とそれを知りつつ耐える蓉子、隔離されつつ思い合う悠也と荒野、荒野に思いを寄せる江里華という構図を、3巻では壊し、新たな展開を図っています。2008年に単行本化するときに3巻が追加して書き下ろされたという事情のためかもしれませんが、定着した関係を壊すことで新たな関係の模索・構築と成長が描けるという形になっています。
私の目には、脇役ではありますが、奈々子の思いと江里華の忍ぶ(相手には告ってるから忍ぶより耐えるか)恋が切なく感じられました。
阿木の荒野への対応。姉たちに揉まれて女性慣れしているという設定なのにもう少しスマートにやれないものかとも思いますが、恋する男、ましてや男子高校生ではこんなものかとも…やはり切ない?
桜庭一樹 文春文庫
1巻:12歳 ぼくの小さな黒猫ちゃん 2011年1月10日発行
2巻:14歳 勝ち猫、負け猫 2011年2月10日発行
3巻:16歳 恋しらぬ猫のふり 2011年3月10日発行
単行本は2008年5月発行、ファミ通文庫で1巻は2005年6月、2巻は2006年1月発行
受け身で接触恐怖症の12歳の荒野が、大人たちの修羅場や悲嘆にも動じないで受け止められる16歳へと成長していく様子が全体を通してのテーマになっています。いつも大人の女性(奈々子・蓉子)に迎えられ動揺したり緊張したりだった荒野がラストシーンでは泣き崩れる大人の女性を迎えるという描写が象徴的です。
1巻と2巻で作り上げた浮気を続ける父とそれを知りつつ耐える蓉子、隔離されつつ思い合う悠也と荒野、荒野に思いを寄せる江里華という構図を、3巻では壊し、新たな展開を図っています。2008年に単行本化するときに3巻が追加して書き下ろされたという事情のためかもしれませんが、定着した関係を壊すことで新たな関係の模索・構築と成長が描けるという形になっています。
私の目には、脇役ではありますが、奈々子の思いと江里華の忍ぶ(相手には告ってるから忍ぶより耐えるか)恋が切なく感じられました。
阿木の荒野への対応。姉たちに揉まれて女性慣れしているという設定なのにもう少しスマートにやれないものかとも思いますが、恋する男、ましてや男子高校生ではこんなものかとも…やはり切ない?
桜庭一樹 文春文庫
1巻:12歳 ぼくの小さな黒猫ちゃん 2011年1月10日発行
2巻:14歳 勝ち猫、負け猫 2011年2月10日発行
3巻:16歳 恋しらぬ猫のふり 2011年3月10日発行
単行本は2008年5月発行、ファミ通文庫で1巻は2005年6月、2巻は2006年1月発行