伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

ビッグデータの覇者たち

2013-08-26 21:43:00 | 実用書・ビジネス書
 膨大なデータを処理・分析し、一つ一つでは意味を持たない大量の情報を全体像や組み合わせからの傾向を把握するなどして活用するビジネス、身近な例でいえば検索サイトやユーザーにあわせた広告表示などについてレポートした本。
 ビッグデータビジネスの覇者たちについて、グーグルは公開情報(ウェブサイト、ブログ等)の収集と傾向分析で成長してきたので、ウェブ世界とは異質の閉鎖的な関係を前提とするソーシャルネットワークについてはどう扱っていいのか困っていて大きく遅れを取っている、アップルはクラウドには弱い、アマゾンは膨大な注文を処理し在庫を管理し支払を管理しサーバーが壊れても回線が切れてもデータが消えないような堅牢なシステムを構築しその余裕部分を貸し出すホスティングサービスでネット世界を下支えしていて今ではシリコンバレーのウェブやモバイルのベンチャーでアマゾンの世話になっていないところを探す方が難しいなどの話が書かれていて興味を引きます。
 商品の注文・購入履歴はもちろん、ウェブの閲覧履歴、検索履歴、さらにはメールの内容まで、これらのビッグデータビジネスはユーザーの個人情報を蓄積・分析・利用しているわけで(ほとんどの人が読まない長大な約款の中に、一読してもわかりにくい書き方でそのことが書かれていて、利用開始時にそれに「同意する」のボタンを押さないとサービスが受けられない形になっているのがふつうですが、検索サイトの場合はプライバシーポリシーなどにそういう記載があるだけで「同意」の確認はされていません)、個人情報漏洩のリスクと、漏洩しなくてもその企業が個人情報を集積・分析していることへの気持ち悪さを超える利益がユーザーにあるのかが問われるところです。それへの反発からアメリカではダックダックゴーなどの個人情報を蓄積しないといっている検索サイトの利用が増えていると報じられていますが。


海部美知 講談社現代新書 2013年4月20日発行
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