伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

レガッタ! 1・2

2013-08-18 10:35:14 | 小説
 名門高校女子ボート部に入った初心者女子高生飯塚有里の奮闘を描くスポーツ青春小説。「主人公・飯塚有里が在籍する埼玉県立美園女子高等学校は、浦和第一女子高等学校をモデルにしていますが、あくまでフィクションであり、実在の人物、団体等名とは関係ありません」とモデルを明らかにしているのがむしろ潔い感じがします。
 1巻、2巻を見る限り、いずれも新学期に始まり、3月の全国選抜で終わり、各巻毎に1学年が過ぎています。3巻では有里が高校3年生になるわけですが、その3巻は2013年8月9日に発売され、シリーズは3巻で完結したそうです(作者のブログに「完結編」と明記されてました)。
 中学教頭の父親に高校受験のために中2でバドミントン部を退部させられた飯塚有里は高校に入ったら好きな部活をやると宣言しバドミントン部に仮入部するが中3まで続けていた同級生との実力差を見せつけられ、中学にはない競技を探し、ボート部に入部する。しかし、他の1年生は新人歓迎行事「漕ごう会」で結束しており、特にボートについて知識があり目的も明確な木崎美帆と対立し、有里は孤立する。1巻では、ボート部内での有里の孤立感からスタートし、次第に人間関係をつくっていく過程が描かれ、2巻では人望を得た有里が1年生の人間関係、インターハイ予選当日の負傷による屈辱の予選落ちとそれに対する自責の念と人間関係の亀裂に悩む様子が描かれます。訓練と試合も描かれていますが、どちらかというとボート部内の人間関係の方に比重がある感じです。1巻、2巻とも終盤のクライマックスとなるはずの天竜川での全国選抜の決勝レースの様子・結果を書かないというあたり、スポーツを題材にしつつスポーツそのものよりも人間関係を描く小説として話題を呼んだ「バッテリー」を意識しているかも。


濱野京子 講談社

1巻 水をつかむ 2012年6月28日発行
2巻 風をおこす 2013年3月28日発行
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幸せの条件

2013-08-18 08:20:07 | 小説
 理化学実験ガラス器機専門メーカーに就職したが実験器機がまともに扱えず在庫管理・伝票整理に回されたダメダメOL瀬野梢恵24歳が、社長が試作したバイオエタノール精製装置の売り込みのために長野県の農村でバイオエタノールの材料となる米の作付をしてくれるよう農家を勧誘するという飛び込み営業を指示され、うまく行かず途方に暮れているところを、休耕田を借りて稲作・畑作の代行をする農業法人の社長に拾われて農業の手伝いをするうちに、東日本大震災の被災者を支援したいという気持ちもあり、農作業にのめり込むようになり、次第に生きがいを見つけていくという農業青春小説。
 ダメダメだった主人公が、農業法人社長の無愛想な対応や同僚の男たちの無骨さにひぃひぃいいながら、社長の妻と娘のサポートを受け、次第に作業に慣れ地に足のついた見方ができるようになり成長していくという流れがストーリーの中心でもあり一番の読みどころです。
 農作業というか、農業機械の仕組みや使い方についてあれこれ書かれていて、子どもの頃から持っていた農業のイメージを変えてくれるという副次的な効果もありました。


誉田哲也 中央公論新社 2012年8月25日発行
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