名門高校女子ボート部に入った初心者女子高生飯塚有里の奮闘を描くスポーツ青春小説。「主人公・飯塚有里が在籍する埼玉県立美園女子高等学校は、浦和第一女子高等学校をモデルにしていますが、あくまでフィクションであり、実在の人物、団体等名とは関係ありません」とモデルを明らかにしているのがむしろ潔い感じがします。
1巻、2巻を見る限り、いずれも新学期に始まり、3月の全国選抜で終わり、各巻毎に1学年が過ぎています。3巻では有里が高校3年生になるわけですが、その3巻は2013年8月9日に発売され、シリーズは3巻で完結したそうです(作者のブログに「完結編」と明記されてました)。
中学教頭の父親に高校受験のために中2でバドミントン部を退部させられた飯塚有里は高校に入ったら好きな部活をやると宣言しバドミントン部に仮入部するが中3まで続けていた同級生との実力差を見せつけられ、中学にはない競技を探し、ボート部に入部する。しかし、他の1年生は新人歓迎行事「漕ごう会」で結束しており、特にボートについて知識があり目的も明確な木崎美帆と対立し、有里は孤立する。1巻では、ボート部内での有里の孤立感からスタートし、次第に人間関係をつくっていく過程が描かれ、2巻では人望を得た有里が1年生の人間関係、インターハイ予選当日の負傷による屈辱の予選落ちとそれに対する自責の念と人間関係の亀裂に悩む様子が描かれます。訓練と試合も描かれていますが、どちらかというとボート部内の人間関係の方に比重がある感じです。1巻、2巻とも終盤のクライマックスとなるはずの天竜川での全国選抜の決勝レースの様子・結果を書かないというあたり、スポーツを題材にしつつスポーツそのものよりも人間関係を描く小説として話題を呼んだ「バッテリー」を意識しているかも。

濱野京子 講談社
1巻 水をつかむ 2012年6月28日発行
2巻 風をおこす 2013年3月28日発行
1巻、2巻を見る限り、いずれも新学期に始まり、3月の全国選抜で終わり、各巻毎に1学年が過ぎています。3巻では有里が高校3年生になるわけですが、その3巻は2013年8月9日に発売され、シリーズは3巻で完結したそうです(作者のブログに「完結編」と明記されてました)。
中学教頭の父親に高校受験のために中2でバドミントン部を退部させられた飯塚有里は高校に入ったら好きな部活をやると宣言しバドミントン部に仮入部するが中3まで続けていた同級生との実力差を見せつけられ、中学にはない競技を探し、ボート部に入部する。しかし、他の1年生は新人歓迎行事「漕ごう会」で結束しており、特にボートについて知識があり目的も明確な木崎美帆と対立し、有里は孤立する。1巻では、ボート部内での有里の孤立感からスタートし、次第に人間関係をつくっていく過程が描かれ、2巻では人望を得た有里が1年生の人間関係、インターハイ予選当日の負傷による屈辱の予選落ちとそれに対する自責の念と人間関係の亀裂に悩む様子が描かれます。訓練と試合も描かれていますが、どちらかというとボート部内の人間関係の方に比重がある感じです。1巻、2巻とも終盤のクライマックスとなるはずの天竜川での全国選抜の決勝レースの様子・結果を書かないというあたり、スポーツを題材にしつつスポーツそのものよりも人間関係を描く小説として話題を呼んだ「バッテリー」を意識しているかも。

濱野京子 講談社
1巻 水をつかむ 2012年6月28日発行
2巻 風をおこす 2013年3月28日発行