水彩の静物画を描く際のテクニックのうち、特に立体感を出すことにこだわって解説する本。
リンゴ、マグカップ、フランスパン、ワインの瓶、チューリップ、バラの6つの対象で、制作過程を追って、観察、作画者との位置関係と光の方向の決定、下書、塗りの各段階での注意・コツを説明しています。
基本的には光と影、対象物を構成する線の方向・流れ、近い部分はくっきり詳細に遠い部分はぼかして淡くという描き分けで奥行き・立体感を出すことになります。重点となる「塗り」では、陰の下塗りをして、その次に光の変わり目部分である「稜線」をメインの色で比較的大胆に塗るという手順が示されていますが、この「稜線」の捉え方・扱い方が、私には読んでいて今ひとつすっきりしませんでした。わかる人にはわかるのでしょうけれど、この本の中心的な概念・テクニックなので、ここで躓くと納得感が持てませんから、もう少しかみ砕いて欲しかったなと思います。
静物画の構図で、光の入る方の空間を少し広めにとった方がきれいに収まるという指摘(51ページ)は、ちょっと目からウロコ感がありました。例えば光が左上方から来る(そういうパターンが多いですよね)とすると、対象物は真ん中よりも右側にずらして配置することになります。この場合、影が右に出ますから書く対象を真ん中に持ってこようとするとむしろ全体を左側に置きたくなります。でもそれは絵としてのバランスはよくないということなんですね。
光の方向では、順光(作画者の方向から光が出ている)が一番難しい(97ページ)ということで、100ページ~101ページのサイド光、逆光、順光でのリンゴの絵の作例がとても参考になります。
マール社編集部編 マール社 2013年5月20日発行
リンゴ、マグカップ、フランスパン、ワインの瓶、チューリップ、バラの6つの対象で、制作過程を追って、観察、作画者との位置関係と光の方向の決定、下書、塗りの各段階での注意・コツを説明しています。
基本的には光と影、対象物を構成する線の方向・流れ、近い部分はくっきり詳細に遠い部分はぼかして淡くという描き分けで奥行き・立体感を出すことになります。重点となる「塗り」では、陰の下塗りをして、その次に光の変わり目部分である「稜線」をメインの色で比較的大胆に塗るという手順が示されていますが、この「稜線」の捉え方・扱い方が、私には読んでいて今ひとつすっきりしませんでした。わかる人にはわかるのでしょうけれど、この本の中心的な概念・テクニックなので、ここで躓くと納得感が持てませんから、もう少しかみ砕いて欲しかったなと思います。
静物画の構図で、光の入る方の空間を少し広めにとった方がきれいに収まるという指摘(51ページ)は、ちょっと目からウロコ感がありました。例えば光が左上方から来る(そういうパターンが多いですよね)とすると、対象物は真ん中よりも右側にずらして配置することになります。この場合、影が右に出ますから書く対象を真ん中に持ってこようとするとむしろ全体を左側に置きたくなります。でもそれは絵としてのバランスはよくないということなんですね。
光の方向では、順光(作画者の方向から光が出ている)が一番難しい(97ページ)ということで、100ページ~101ページのサイド光、逆光、順光でのリンゴの絵の作例がとても参考になります。
マール社編集部編 マール社 2013年5月20日発行