伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

タラ・ダンカン10 悪魔の兄弟 上下

2013-08-29 22:55:29 | 物語・ファンタジー・SF
 魔術が支配する「別世界」の人間の国「オモワ帝国」の世継ぎの18歳(10巻時点)の少女タラ・ダンカンが、様々な敵対勢力の陰謀や事件に巻き込まれながら冒険するファンタジー。
 10巻では、9巻の終わりで悪魔の王アラカンジュとドラゴンで3巻あたりまでタラの師匠だったシェムの2人がそろってタラに求婚したと、例によって次号に続くをやったのを受けて(今回はまともに受けて)、5000年前の「裂け目の闘い」で煉獄に封じ込めた悪魔と通商などの関係を持つのかについての議論・対立、悪魔との交渉・駆け引きとそれをめぐる各種族の思惑を中心に展開します。タラが伯母のリスベス女帝にならって政治的な判断に長けていき、帝国内での地歩を固めて行く点、カルとのロマンスでも性的な関係を深めて行く点ともに、少女から大人への成長を読み込んでいく巻になってきている感じです。
 原題は DORAGONS CONTRE DEMONS (ドラゴン対悪魔)ですが、内容的には人間(主としてオモワ帝国、リスベス女帝、タラ)と悪魔の関係、駆け引きが中心で、ドラゴンはほとんど添え物になっています。読んでみると、日本語タイトルの「悪魔の兄弟」の方がしっくりときます。
 10巻では、シリーズを通しての最大の敵のはずのマジスターがかなり影が薄くなっています。原書が2013年9月5日に発売される予定の11巻「世界戦争(原題:LA GUERRE DES MONDES)」も悪魔との戦いになるはずで、完結するはずの12巻をマジスターとの戦いでクライマックスに持って行けるのか、怪しいというか気になるところです。


原題:TARA DUNCAN,DORAGONS CONTRE DEMONS
ソフィー・オドゥワン=マミコニアン 訳:山本知子、加藤かおり
メディア・ファクトリー 2013年8月2日発行

9巻については2012年9月1日の記事で紹介しています。
コメント (2)
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