沖縄美ら海水族館の研究員2名が、サメ研究の視点と成果と残された多くの謎を語る本。
サメの多くは深海に住み、多くのサメは飼育に適さず、したがって観察の機会は偶然に左右され、とりわけ繁殖・出生が観察できていない種が多く、古生物についても軟骨のため歯以外の化石が残りにくいという事情で、サメ研究には困難が多いという嘆きとサメの生態にはわかっていないことがとても多いことが語られています。なるほど。
ジョーズのようなサメ(ホオジロザメとか)は決して代表的なサメではない、2019年のデータではサメの攻撃に起因するシャークアタックの件数は全世界で64件、そのうち死者は世界で二人(168~169ページ)などの記述にもサメ研究者の嘆きが表れています。
サメの最大寿命について、2016年にコペンハーゲン大学の研究グループが発表した論文では調査したニシオンデンザメの最大個体の推定年齢は392年±120年だそうです(58ページ)。著者が「これが正しければ、脊椎動物で最も長寿ということになる」という書き方をしているあたりにも、確かなことは言えないという感じがありありとしています。飼育されていない種類のサメの繁殖の実態や、寿命などがわからないのは理解できますが、飼育されているサメも含めて多くのサメの特徴の尾鰭が上下非対称で上側が長いことが真後ろに水を押し出せず下方に水を押し出すためまっすぐに泳ぎにくい形態なのになぜ多くのサメの尾鰭がそうなっているのかもいまだ明確な答がないといいます(72~75ページ)。
サメは2本のペニスを持っている(63ページ)「私は付き合い始めて間もない彼女(現・妻)とデートで訪れた水族館で、この知識を得意げに披露した痛々しい記憶がある」(同ページ)…サメ研究者の悲哀を感じさせますが、まぁ、そのまま妻になったのだから、ダメージはさほどなかったのでしょう。
まだわからないことが多いということも含めて、サメに対する認識を改め、興味を感じさせてくれる本です。
佐藤圭一、冨田武照 産業編集センター 2021年5月21日発行
サメの多くは深海に住み、多くのサメは飼育に適さず、したがって観察の機会は偶然に左右され、とりわけ繁殖・出生が観察できていない種が多く、古生物についても軟骨のため歯以外の化石が残りにくいという事情で、サメ研究には困難が多いという嘆きとサメの生態にはわかっていないことがとても多いことが語られています。なるほど。
ジョーズのようなサメ(ホオジロザメとか)は決して代表的なサメではない、2019年のデータではサメの攻撃に起因するシャークアタックの件数は全世界で64件、そのうち死者は世界で二人(168~169ページ)などの記述にもサメ研究者の嘆きが表れています。
サメの最大寿命について、2016年にコペンハーゲン大学の研究グループが発表した論文では調査したニシオンデンザメの最大個体の推定年齢は392年±120年だそうです(58ページ)。著者が「これが正しければ、脊椎動物で最も長寿ということになる」という書き方をしているあたりにも、確かなことは言えないという感じがありありとしています。飼育されていない種類のサメの繁殖の実態や、寿命などがわからないのは理解できますが、飼育されているサメも含めて多くのサメの特徴の尾鰭が上下非対称で上側が長いことが真後ろに水を押し出せず下方に水を押し出すためまっすぐに泳ぎにくい形態なのになぜ多くのサメの尾鰭がそうなっているのかもいまだ明確な答がないといいます(72~75ページ)。
サメは2本のペニスを持っている(63ページ)「私は付き合い始めて間もない彼女(現・妻)とデートで訪れた水族館で、この知識を得意げに披露した痛々しい記憶がある」(同ページ)…サメ研究者の悲哀を感じさせますが、まぁ、そのまま妻になったのだから、ダメージはさほどなかったのでしょう。
まだわからないことが多いということも含めて、サメに対する認識を改め、興味を感じさせてくれる本です。
佐藤圭一、冨田武照 産業編集センター 2021年5月21日発行