伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

fishy

2021-11-01 00:17:31 | 小説
 5年前に飲み会で知り合ったがアクションを起こせないうちに別の女性と結婚したゼネコン勤務の新婚の松本がシンガポールに赴任する直前に誘いかけて不倫を始めた28歳フリーライターの美玖、13年前に結婚した夫との間に2子をなした後2年セックスレスで夫が年下女と社内不倫していることに苛立つ37歳雑誌編集者の弓子(氏は7ページでは「光岡」、116ページでは「尾長」。気が変わったのかテキトーなのか)、経歴・家族関係等不詳の謎の32歳インテリアデザイナーの若槻ユリの3人が、それぞれに持つ男との関係やその関係者とのトラブル等をめぐって話し、関わり合う様子を描いた小説。
 若さで突っ走りがちだが不倫相手の妻からの反撃を受けて痛い目に遭い萎縮したり比較的ふつうの反応をする美玖、キャリアウーマンではあるが最年長で夫と子どもを持つこともあって家庭を守りたい気持ちが強く他方で夫にはその気持ちを素直に示せないやや保守的な志向の弓子、自由に過ごしたいという気持ちが強く他人に自分を曝したくないユリの3者の掛け合いで微妙な関係、複線的な見方を描いています。ユリの台詞にやや観念的に過ぎる違和感を持つところはありますが、私が読んだ金原作品の中では(そんなにたくさん読んでいるわけではないですけど)一番いい感じに仕上がっているように思えました。


金原ひとみ 朝日新聞出版 2020年9月30日発行
「小説トリッパー」連載
コメント
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