都内のホテルのダイニングバーに準社員として勤める湖谷真奈が、東日本大震災のとき東北を旅していてそのまま3年行方不明の友人卯木すみれを忘れられずときおり衝動的に逢いたくなり苦しく思うが、すみれの彼氏だった遠野がすみれの持ち物を処分したいと言い出したことに動揺し、すみれの実家を訪ねて違和感を強めといった展開の小説。
湖谷が周囲との間で、またすみれとの想い出を挟みながら進んでいく話(奇数章)と固有名詞を回避した「私」のいつ果てるともない昏い彷徨い(偶数章)が交互に続き、やや不気味さというか重苦しさを感じ読みにくく思えました。
湖谷の回想のすみれは、自分のことを深く深く愛してくれる男を選ぶ、「フカクフカク。世界中で、私のことだけを選んでくれる人。そして私も、同じ質問をされたらその人だけを選ぶの」(16ページ)という、純真なような「天然」っぽい明るさに満ちていて、その人が被災して行方不明というシチュエーション、そしてこのタイトルは、切なく哀しい。
友だちって何? 逢えなくなった/死んだ喪失感とどう向きあえばいい? そういうことを改めて考えさせられました。

彩瀬まる 講談社 2016年2月2日発行
湖谷が周囲との間で、またすみれとの想い出を挟みながら進んでいく話(奇数章)と固有名詞を回避した「私」のいつ果てるともない昏い彷徨い(偶数章)が交互に続き、やや不気味さというか重苦しさを感じ読みにくく思えました。
湖谷の回想のすみれは、自分のことを深く深く愛してくれる男を選ぶ、「フカクフカク。世界中で、私のことだけを選んでくれる人。そして私も、同じ質問をされたらその人だけを選ぶの」(16ページ)という、純真なような「天然」っぽい明るさに満ちていて、その人が被災して行方不明というシチュエーション、そしてこのタイトルは、切なく哀しい。
友だちって何? 逢えなくなった/死んだ喪失感とどう向きあえばいい? そういうことを改めて考えさせられました。

彩瀬まる 講談社 2016年2月2日発行