海沿いのひなびた町に引っ越してきた人付き合いが苦手な中学2年生の緒沢凛子が、なれなれしく話しかけてくる薄いオレンジに髪を染めたいつも笑顔の同級生和久井将暉に反発を感じながら、周囲との関係に悩み疲れ、本音をぶつけられる和久井に気を許していき…という青春小説。
友達とは何か、1人でいることの意味などを考える作品ですが、自らが未熟で視野が狭く相手のことを考える余裕も力量もなく相手を傷つけているのに、自分が考える友達という定義・内容にピタリと当てはまらないものは友達ではなく価値がなく、100か0か的な見方で、周囲の者が完璧でないこと、さまざまな側面を持つことを許せず拒絶して孤立していく緒沢の姿があまりに息苦しい。この緒沢の行動パターンが、スタート地点は違っても、シリーズ初巻の「世界は『 』で満ちている」の間宮由加とほぼ同じで、ちょっと苦笑します。
「世界は『 』で満ちている」では、不良グループ男子も「ふはは」(33ページ)、「っはは」(101ページ)、「はは」(88ページ、135ページ)、「ふは」(149ページ、234ページ)と少し力の抜けた笑い声を出していましたが、今作では笑い声が「ぶはは」(128ページ、148ページ)、「ぶははは」(135ページ)とパワーアップしています。不良男子グループのみならず、凛子のお友達だった香江子さえも「ぶはは」と笑っています(107ページ)。似たようなコンセプトと展開の2作でそこが違いだったのかも… (^^;)
櫻いいよ PHP研究所 2022年2月22日発行
友達とは何か、1人でいることの意味などを考える作品ですが、自らが未熟で視野が狭く相手のことを考える余裕も力量もなく相手を傷つけているのに、自分が考える友達という定義・内容にピタリと当てはまらないものは友達ではなく価値がなく、100か0か的な見方で、周囲の者が完璧でないこと、さまざまな側面を持つことを許せず拒絶して孤立していく緒沢の姿があまりに息苦しい。この緒沢の行動パターンが、スタート地点は違っても、シリーズ初巻の「世界は『 』で満ちている」の間宮由加とほぼ同じで、ちょっと苦笑します。
「世界は『 』で満ちている」では、不良グループ男子も「ふはは」(33ページ)、「っはは」(101ページ)、「はは」(88ページ、135ページ)、「ふは」(149ページ、234ページ)と少し力の抜けた笑い声を出していましたが、今作では笑い声が「ぶはは」(128ページ、148ページ)、「ぶははは」(135ページ)とパワーアップしています。不良男子グループのみならず、凛子のお友達だった香江子さえも「ぶはは」と笑っています(107ページ)。似たようなコンセプトと展開の2作でそこが違いだったのかも… (^^;)
櫻いいよ PHP研究所 2022年2月22日発行