伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

凜の弦音

2022-04-03 23:20:17 | 小説
 翠星学園弓道部所属の高校生で中学時代に弐段を取った篠崎凜の弓道生活を描く短編連作。
 帯には「ひとりの少女の成長を活き活きと描く傑作長編。」とあり、話は続いていくのですが、季刊雑誌での連載ということもあり、基本的に1話読み切りスタイルなので、短編連作と捉えた方がいいと思います。
 最初の3話は、凜の師匠の弓道場での殺人事件、同期生が突然辞めたいと言い出した経緯、部活の最中に先輩から託されている高価な竹弓が行方不明となった事件を、凜が弓道の知識を駆使して解明するミステリーで、後半4話はミステリーではなく、凜の周りに新たな弓道指導者やライバル美少女が現れて凜の弓道への確信を揺さぶりながら凜が弓道の基本に立ち返り自分の姿勢を改めて追求していく弓道青春小説になっています。そういう構成なので読み通すと趣が変わってくるのですが、最初の軽めのタッチから次第に熱を帯びていくのが、終盤に感動を覚えて意外にいい感じの読後感です。作者が最初からそれを狙ったということではないだろうと思いますが。


我孫子武丸 光文社 2018年10月30日発行
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする