著者が、たぶん好みで、選んだ大審院・最高裁の著名ないしは割と知られた判例について、その事案を漫画と文章で説明した上で、1審、控訴審、上告審の判断を解説して著者のコメントをつけた本。
法律実務家と法学部出身者・学生が、授業で習ったり聞いたことはあるけど、その判決ってこういう事案だったんだとか、実際の裁判ではそういうことが議論になったのねと思う、蘊蓄本という位置づけでしょう。選ばれた判例が特定の分野ということでもなく、現在の裁判実務上よく使われるとも限らないこともあり、実際に裁判実務をしていて、これは使えるという印象がないので、実質的には「趣味の本」だと思います。
「古今」の名を用いていることからか、判決日を基準に春夏秋冬に分類された上、事案紹介末尾に歌が詠まれていますが、事件発生日と関係がないため、「春判例」で秋の歌が詠まれていたり(33ページ)、「夏判例」で弥生(3月)が詠まれ(71ページ:事件も2月29日から3月上旬)と、季節感を醸し出そうとした試みが滑っているように思えます。
「今はただ反対。そんな気分だっただけ」「いつものように事前通告のない質問を」という「左派野党の党首」のヒロイン「瑞希」(235ページ、237ページ)って、私の同僚のことですか?

中村真 清文社 2022年1月11日発行
法律実務家と法学部出身者・学生が、授業で習ったり聞いたことはあるけど、その判決ってこういう事案だったんだとか、実際の裁判ではそういうことが議論になったのねと思う、蘊蓄本という位置づけでしょう。選ばれた判例が特定の分野ということでもなく、現在の裁判実務上よく使われるとも限らないこともあり、実際に裁判実務をしていて、これは使えるという印象がないので、実質的には「趣味の本」だと思います。
「古今」の名を用いていることからか、判決日を基準に春夏秋冬に分類された上、事案紹介末尾に歌が詠まれていますが、事件発生日と関係がないため、「春判例」で秋の歌が詠まれていたり(33ページ)、「夏判例」で弥生(3月)が詠まれ(71ページ:事件も2月29日から3月上旬)と、季節感を醸し出そうとした試みが滑っているように思えます。
「今はただ反対。そんな気分だっただけ」「いつものように事前通告のない質問を」という「左派野党の党首」のヒロイン「瑞希」(235ページ、237ページ)って、私の同僚のことですか?

中村真 清文社 2022年1月11日発行