伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

面白い物語の法則 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術 上下

2022-04-16 22:34:57 | 実用書・ビジネス書
 「ハリウッドの虎の巻」とも呼ばれ創作講座などでも教科書として採用されていた映画、脚本等の創作テクニックを紹介するロングセラーを出版したものだそうです。
 そういう紹介を見て、またタイトルに惹かれて読み始めると、今ひとつつかみは弱いしすでにどこかで聞いたようなことがくどくど言われている感じで、残念に思えました。
 神話学研究者のジョーゼフ・キャンベルが書いた「千の顔をもつ英雄」が分析したヒーローズ・ジャーニーの展開:日常世界→冒険への誘い→冒険の拒否→賢者との出会い→戸口の通貨→試練、仲間、敵→最も危険な場所への接近→最大の試練→報酬→帰路→復活→宝を持っての帰還が繰り返し語られてストーリーテリングの基本とされ、ロシアの研究者ウラジミール・プロップがおとぎ話を分析して論じたキャラクターの類型化(敵対者、贈与者、支援者、姫君と父王、派遣者、主人公、偽の主人公/偽の主張者/第二の敵対者)や31の「機能」(ヒーローズ・ジャーニーの12ステージより詳細な31の段階)、レスボス島出身のアリストテレスの弟子テオプラテスの「キャラクターたち」に記載された30のキャラクター類型(皮肉屋、へつらい屋、無駄口屋、粗野な人間、お愛想を言う人間、無頼の人間、おしゃべり好き、噂好き、恥知らず、けち、いやがらせをする男、タイミングの悪い人間、おせっかい、愚か者、へそまがり、迷信深い人間、不平屋、疑い深い人間、不潔な人間、無作法な人間、見栄っぱりな人間、しみったれ、ほら吹き、横柄な人間、臆病者、独裁者(権力好き)、年寄りの冷や水をする人間、悪態好き、悪人びいき、貪欲(欲深)な人間)など、この本で創作の基本とされ、また面白そうなアイディアは、いずれも過去のあまり読まれていなかった文献から抜き出したものです。
 まぁ、創作と言っても一から作れるものは少ないですし、過去の研究・知見は公共の財産(パブリック・ドメイン)ですから、いいと言えばいいのですが。ディズニー映画などを手がけたハリウッドの人の著作と聞くと、ディズニーでハリウッドな手法だねと妙に納得してしまいます。


原題:Memo from the Story Department : Secrets of Structure and Character
クリストファー・ボグラー、デイビッド・マッケナ 訳:府川由美惠
角川新書 2022年2月10日発行(単行本は2013年9月、原書は2011年7月)
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