アメリカネブラスカ州の田舎町ガンスラムで女子高生ペギーが行方不明となり、ペギーに思いを寄せていた知的障害のある青年ハルが疑われ、ハルを牧場で雇い親代わりにように世話をしていたバス運転手のアルマと牧場主クライルの夫婦は、友人とともに鹿狩りに行っていたはずなのに車のフロントをボコボコにし血をつけた状態で戻ってきていたことをすぐに知らせなかったハルの不審な態度に疑念と不安を持ちながらハルをかばい続け、ペギーの不在に改めて姉への思慕を募らせる弟マイロの思考は千々に乱れ…というミステリー小説。
ミステリーとしてより、ハルへの疑惑・疑念をめぐる心理描写、田舎町での濃密で錯綜する対人感情と人間関係の描写を読む作品なのだろうと思います。なかなか事件というか、真相・謎の解明が進まない重苦しい雰囲気の中での心理描写というのが楽しめるかどうかが作品に対する評価を分けることになりそうです。

原題:DEER SEASON
エリン・フラナガン 訳:矢島真理
早川書房(ハヤカワポケットミステリーブックス) 2023年1月15日発行(原書は2021年)
2022年アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞受賞作
ミステリーとしてより、ハルへの疑惑・疑念をめぐる心理描写、田舎町での濃密で錯綜する対人感情と人間関係の描写を読む作品なのだろうと思います。なかなか事件というか、真相・謎の解明が進まない重苦しい雰囲気の中での心理描写というのが楽しめるかどうかが作品に対する評価を分けることになりそうです。

原題:DEER SEASON
エリン・フラナガン 訳:矢島真理
早川書房(ハヤカワポケットミステリーブックス) 2023年1月15日発行(原書は2021年)
2022年アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞受賞作