キリンを中心に他の動物の体の構造や臓器(肺、手足、首、皮膚、角、消化器官、心臓、腎臓、呼吸器)が人間とどう違うかを比較して、それぞれの形態、機能がどのような環境/条件でどのような点で利点があるかを論じ、生物の進化やその中での生物の位置づけなどを解説した本。
キリンの特徴を足がかりにしつつさまざまな器官についての動物による違い/あり得る選択肢とそのメリットについて書かれていて、字数のわりに情報量が多くいろいろなことに気付かされた印象です。いくつかの仮説を並べた上で、結局、理由・原因はわかっていないということも多いのですが。
進化論について、何か生物の進化が一定の条件に適応できるように目的的になされたかのような論述がなされたり、より合理的効率的に進化して行く/来たかのような捉え方をするものが少なくないのですが、この本では、一番合理的効率的でなくても生き残れる程度に適応できれば子孫を残せる、生存にとってある面では有利でも別の面で不利なことは案外多く変化のプラスマイナスの評価は困難(さまざまな制約があるなかで、デメリットを受け入れたうえで、「それでもなんとかうまくやっていける」という妥協点を探る過程が、進化の本質なのかもしれない:213ページ。もっとも「受け入れ」「探る」という書き方は進化が目的的であるかのような誤解を与えかねないのですが)というような説明がなされていて、私としては、自分が理解している進化論とフィットしているように感じられました。

郡司芽久 NHK出版 2022年9月30日発行
ウェブマガジン「NHK出版 本がひらく」連載
キリンの特徴を足がかりにしつつさまざまな器官についての動物による違い/あり得る選択肢とそのメリットについて書かれていて、字数のわりに情報量が多くいろいろなことに気付かされた印象です。いくつかの仮説を並べた上で、結局、理由・原因はわかっていないということも多いのですが。
進化論について、何か生物の進化が一定の条件に適応できるように目的的になされたかのような論述がなされたり、より合理的効率的に進化して行く/来たかのような捉え方をするものが少なくないのですが、この本では、一番合理的効率的でなくても生き残れる程度に適応できれば子孫を残せる、生存にとってある面では有利でも別の面で不利なことは案外多く変化のプラスマイナスの評価は困難(さまざまな制約があるなかで、デメリットを受け入れたうえで、「それでもなんとかうまくやっていける」という妥協点を探る過程が、進化の本質なのかもしれない:213ページ。もっとも「受け入れ」「探る」という書き方は進化が目的的であるかのような誤解を与えかねないのですが)というような説明がなされていて、私としては、自分が理解している進化論とフィットしているように感じられました。

郡司芽久 NHK出版 2022年9月30日発行
ウェブマガジン「NHK出版 本がひらく」連載