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伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

暮らし・お金・老後…おひとりさまの心配ごと、すべて解決してください!

2023-02-21 20:16:53 | 実用書・ビジネス書
 独身女性が、職場・仕事、恋愛・結婚、生活、家族、老後などで遭遇する心配ごと、困りごとについて、関係する法律や制度を挙げて若干の説明をして考えるヒントというか入り口を示す本。
 冒頭で予想外のトラブルが起きたときどうしたらいいのかなと思案するところに「大丈夫、そんなときに味方になってくれるのが法律や制度です!」(2~3ページ)と登場したわりには、法律や制度を超えた領域に口を出してみたり(例えば災害への備え:127~129ページ、保険選び:186~187ページ)、紹介されている相談者のケースでは法律が味方になりそうにないものが多々あります。後者の点は、著者がわりと堅実な回答をしていると評価できますが、「おひとりさまの心配ごと、すべて解決してください!」というタイトルも含めたこの本が読者に与える期待とはズレている感じがします。項目ごとに「あなたを守ってくれる法律」という囲みで条文が引用されていますが、本文に照らしてその条文が相談者を守ってくれないことも少なからずありますし、難しい条文もかみ砕かずにそのまま引用されているのも不親切な感じがします。著者の回答を前提に本作りをするなら、法律と制度で心配ごとをすべて解決できるかのようなキャッチとコンセプトではなく、おひとりさまが堅実に心配ごとを減らして生きるために法律と制度を正しく学びましょうというような体裁にすべきでしょう。編集者の企画と著者の意向にずれが生じたのを編集者が無視して自分の考えを押し通して出版してしまったのではないかと思います。
 著者の回答は比較的穏当な線のものが多いのですが、相談者にとって解決になっていないものも多くなっています。私の専門領域の労働問題が最初に出てきますが、そこでの回答は、法的には闘えない、諦めるか会社と相談してみろというニュアンスで終わるのがほとんどで、まぁ挙げられているケースからすればそういう答になるとは思いますが、それならなんのためにこの本を書いているのか、労働者のためではなくて会社のために書いているのかと思ってしまいます。冒頭の漫画(18~19ページ)を見ても「女の敵は女」みたいな問題設定なのも気になりましたし。


上谷さくら 学研プラス 2022年10月11日発行
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