伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

「情報自由法」で社会を変える! 情報開示最強ツールの実践ガイド

2023-02-25 22:48:00 | 人文・社会科学系
 沖縄タイムズ特約通信員でもあるイギリス人ジャーナリストの著者が、自らの取材の過程でアメリカの政府機関に対して情報自由法(FOIA : Freedom of Information Act)による請求を行ってきた経験に基づいて、情報の開示を得た実例を紹介し、日本のジャーナリストと市民に対して、情報自由法を利用してアメリカ政府に対する情報公開請求を推奨する本。
 アメリカでも官僚たちの抵抗はあり、請求する側の工夫と強い意志と粘り強さが必要であることが、著者の請求の実例の紹介から読み取れます。日本の情報公開法も、アメリカの情報自由法と規定自体はそれほど変わらないのですから、情報公開請求の実践でアメリカ並みの開示を求めていくことが必要なのでしょう。著者はそういうことも言っているのだと思いますが、日本の市民に対してもアメリカの情報自由法を武器にしようと呼びかけているのは、ジャーナリストとしての実践でも日本政府への請求はあまりに労多くして実りなしという判断でしょう。
 著者の情報開示請求で明らかにされたケースに、福島原発事故時に福島原発付近で作戦行動した米軍車両が放射能で酷く汚染されたが、除染は被災地から遠く離れた米軍基地で行われ、米軍は三沢基地と厚木基地で放射能汚染水を基地の下水道に捨て、そのことを地元自治体に通知しなかったということなどがあるそうです(46~47ページ)。トモダチ作戦の裏側ですね。
 著者は、自分の経験に基づき、情報公開請求をする際の工夫や注意点を繰り返し助言し、巻末には請求の書式も掲載しています。英語に抵抗がない/自信がある人ならやってみたくなるかもと思います。


ジョン・ミッチェル 訳:阿部小涼 
岩波ブックレット 2023年1月11日発行
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