

神奈川県立歴史博物館で「眞葛焼」展と同時開催で、「地中に埋もれた江戸時代の道具たち」展を開催していた。遺跡からの出土品から神奈川県下の町と村の暮らしぶりを浮き彫りにしようという展示である。
私の目的は眞葛焼であったが、この展示も見てきた。この展示室を見てからでないと眞葛焼展が見られない仕組みになっている。
私が小さい頃はまだ明治時代以前に生まれた方もまだいたし、明治初めの頃は江戸の雰囲気を色濃く残していたから、江戸時代というのはそんなに遠くの歴史のかなたの世界ではなかった。私が生まれたからすでに62年。明治末年生まれの人もすでに100歳を超えることになり、明治時代すら遠い世界である。江戸時代の記憶はもうすでに無くなっている。
江戸時代というものが、いくら書物が豊富に残されていても、生活ぶりをうかがうものは遺跡から発掘されたものなど考古学の世界になってしまったのかもしれない。
そういう私も江戸時代の世界はとても想像できない。落語や芝居や小説で聞いていても、今住んでいる世界のあり様とはかけ離れているということも、共通するものがあるということも、どちらもよく理解できていないのではないだろうか。
そういった意味で今回の道具から生活を想像することを目的とした展示というのは面白い。普段テレビや映画で見る江戸時代というものが、現実の江戸時代とはかなり違うということも実感できる。
速足の見学ではあったが、刺激はいろいろあった。無料の配布された28ページものパンフレットももらったので、これからじっくり目を通して勉強しようと思う。



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