ウィキペディアの解説を要約すると次のようになる。
「ポロネーズは、フランス語で「ポーランド風」の意で、マズルカと並んでポーランド起源のダンスまたはそのための曲の形式(舞曲)。テンポがゆっくりな4分の3拍子で、もとはポーランドの民族舞踊であったが、ひとつの様式となってヨーロッパで流行。典型的なポロネーズは荘重でゆったりした4分の3拍子で、第1拍が16分音符で細分されているのが特徴であるが、初期のものは必ずしもこれに従わず、2拍子のものもある。現在のリズムが定着したのは古典派の時代である。ダンスは三拍目の最後に挨拶をして締めくくられるため、三拍目の初めの拍(弱拍)で終結するのが特徴」。
さらに「ヨーロッパ各国の宮廷に取り入れられ、フランス宮廷からポロネーズの名が広まった。また純器楽曲としても作曲され、初期のもので有名なのがJ.S.バッハの作品(ブランデンブルク協奏曲、フランス組曲、管弦楽組曲など)である。さらにベートーヴェン、ウェーバー、シューベルトらも作曲した。また、舞曲ではない「ポロネーズ風」という表記を付けた曲も多い」
これらの宮廷音楽として洗練されたものとは別に、ポーランドの政治的な独立運動と連動して作られてきたポロネーズがショパンの手でヨーロッパ音楽として再生されたと云われている。ショパンのアイデンティティーとしてのマズルカと並ぶ様式である。
解説によれば、この当初のショパンのアイデンティティーとしてのポロネーズは第3(軍隊)、第4、第6(英雄)ということになるらしい。一方で対極にあるのが、第5、第7ということである。印象からすると第1、第2も同じ部類かもしれない。
ワルツもまた舞踏会用と、ワルツという形式を借りた演奏会用独奏曲に分類されるというが、同じことがポロネーズにも当てはまると解釈していいのだろうか。
確かに私は外に向かって人の気分をひとつにまとめようとするような舞踏会用ワルツと同様な気持ちで第3(軍隊)、第6(英雄)を聴いた。第4がどちらに当てはまるかは悩ましい。
私は初めて聞いた時から第5、第7に惹かれている。特に第7というのはポロネーズという形式から大きく飛躍して、それこそ演奏会用独奏曲として大きな飛躍をもたらしたように感じている。
私の気分は、第2→第4→第5→第7という流れがショパンの表現の基本的な発展過程で、第1、第3、第6は政治的な意識が先行した脇道のような気もする。ただし第1、第3、第6の親しみやすい表現、人の気分を駆り立てる表現というのを否定しているつもりはない。それはそれでひとつの音楽のジャンルであることに変わりはない。そしてそれらを含めて全体がショパンの音楽である。
なお、解説によれば第8~第16までは若い頃の習作である。ただし早熟なショパンにとっては18歳(第9、第10)、19歳(第16)のころの作品は十分に成熟した表現をしているはずである。ポロネーズとしての習作ととらえればよいかもしれない。
このCDはこれまでと同様にアシュケナージによる全集版からの編集。録音時期は1976年から85年にかけて約20年にわたっている。