今年の中秋の名月は10月4日。ただし満月は2日後の6日。これは太陰太陽暦では満月と15夜にずれが生ずるのでやむを得ないところ。詳しくはこちらの記事が参考になる。【→こよみのページ】
俳句の季語では名月といえば、旧暦8月15日の月のことを指す。良夜は月を愛でる8月15日の夜のことを指す。
★名月や故郷遠き影法師 夏目漱石
★名月や門の欅も武蔵ぶり 石田波郷
★満月やたたかふ猫はのびあがり 加藤楸邨
加藤楸邨の句を1967(昭和四十二)年の句であるが、猫と月の組み合わせでこんな詩があった。満月ではなく「みかづき」であるが、猫と月と関係は名月を愛でる感覚とはだいぶ離れている。
猫 萩原朔太郎
まつくろけの猫が二疋
なやましいよるの屋根のうへで、
ぴんとたてた尻尾のさきから、
糸のやうなみかづきがかすんでゐる。
『おわあ、こんばんは』
『おわあ、こんばんは』
『おぎやあ、おぎやあ、おぎやあ』
『あわああ、ここの家の主人は病気です』
この詩をおさめる「月に吠える」は、1916(大正六)年の刊行である。
この詩をはじめて知ったのは中学一年生の国語の時間。有名な「竹」とともに謄写印刷のざら紙で配布されたと思う。
竹
光る地面に竹が生え、
青竹が生え、
地下には竹の根が生え、
根がしだいにほそらみ、
根の先より繊毛が生え、
かすかにけぶる繊毛が生え、
かすかにふるえ。
(以下略)
この詩に出てくる「繊毛」という初めて目にする漢字と語句が大変印象的だった。
室生犀星と萩原朔太郎とで創刊した詩誌「感情」には版画家の恩地孝四郎も加わっていた、ということを最近になって知った。
俳句の季語では名月といえば、旧暦8月15日の月のことを指す。良夜は月を愛でる8月15日の夜のことを指す。
★名月や故郷遠き影法師 夏目漱石
★名月や門の欅も武蔵ぶり 石田波郷
★満月やたたかふ猫はのびあがり 加藤楸邨
加藤楸邨の句を1967(昭和四十二)年の句であるが、猫と月の組み合わせでこんな詩があった。満月ではなく「みかづき」であるが、猫と月と関係は名月を愛でる感覚とはだいぶ離れている。
猫 萩原朔太郎
まつくろけの猫が二疋
なやましいよるの屋根のうへで、
ぴんとたてた尻尾のさきから、
糸のやうなみかづきがかすんでゐる。
『おわあ、こんばんは』
『おわあ、こんばんは』
『おぎやあ、おぎやあ、おぎやあ』
『あわああ、ここの家の主人は病気です』
この詩をおさめる「月に吠える」は、1916(大正六)年の刊行である。
この詩をはじめて知ったのは中学一年生の国語の時間。有名な「竹」とともに謄写印刷のざら紙で配布されたと思う。
竹
光る地面に竹が生え、
青竹が生え、
地下には竹の根が生え、
根がしだいにほそらみ、
根の先より繊毛が生え、
かすかにけぶる繊毛が生え、
かすかにふるえ。
(以下略)
この詩に出てくる「繊毛」という初めて目にする漢字と語句が大変印象的だった。
室生犀星と萩原朔太郎とで創刊した詩誌「感情」には版画家の恩地孝四郎も加わっていた、ということを最近になって知った。