★メール閉じ一日終る秋深し 吉住外茂夫
★一滴に一音秋のふかみけり 吉本登美恵
★身を出でて離れざる影秋惜しむ 深谷雄大
秋というのは、立秋から立冬の前の日までであるから、今年の暦でいえば8月7日(火)から11月6日(火)までとなる。本日は10月25日、あと12日で立冬である。秋を惜しむ時節であろうか。
私は秋の深まりのイメージは都会にはない。色づいた樹々の間を落葉を踏みながら歩くことが最初に浮かんでくる。沢の音も欠かせない。樹の根元から水が沁み出て細い水の流れにであれば嬉しい。山道の水場に色づいた葉が張り付いているのもうれしい。水が冷たいと色が鮮やかになるように思われる。水の一滴ごとに映える色も音も違う。色と音に秋の深みを知る。水の流れる石も触れると冷たく、そして尖っている。そんな山道が好みである。
都会の中では影が長くなり、夕方は眩しくなる。しかしこれは冬の方が私には相応しく感じる。プラタナスなどの大きな葉がばさりと落ち始めるとお祖迫った秋を感ずることはある。残念ながら都会の中では秋の深まりはあまり豊かなイメージが湧かない。たぶん慌ただしい時期と重なる40年間だったのが災いしているかもしれない。
自分の影が長くなったと感ずるのは、確かに秋だが、私の場合は秋の半ば。やはり季節感というのは、個人的な要素が大きく作用する。これと一般的な暦の上の季節とのズレが、俳句の面白味でもあるといえる。
★一滴に一音秋のふかみけり 吉本登美恵
★身を出でて離れざる影秋惜しむ 深谷雄大
秋というのは、立秋から立冬の前の日までであるから、今年の暦でいえば8月7日(火)から11月6日(火)までとなる。本日は10月25日、あと12日で立冬である。秋を惜しむ時節であろうか。
私は秋の深まりのイメージは都会にはない。色づいた樹々の間を落葉を踏みながら歩くことが最初に浮かんでくる。沢の音も欠かせない。樹の根元から水が沁み出て細い水の流れにであれば嬉しい。山道の水場に色づいた葉が張り付いているのもうれしい。水が冷たいと色が鮮やかになるように思われる。水の一滴ごとに映える色も音も違う。色と音に秋の深みを知る。水の流れる石も触れると冷たく、そして尖っている。そんな山道が好みである。
都会の中では影が長くなり、夕方は眩しくなる。しかしこれは冬の方が私には相応しく感じる。プラタナスなどの大きな葉がばさりと落ち始めるとお祖迫った秋を感ずることはある。残念ながら都会の中では秋の深まりはあまり豊かなイメージが湧かない。たぶん慌ただしい時期と重なる40年間だったのが災いしているかもしれない。
自分の影が長くなったと感ずるのは、確かに秋だが、私の場合は秋の半ば。やはり季節感というのは、個人的な要素が大きく作用する。これと一般的な暦の上の季節とのズレが、俳句の面白味でもあるといえる。