Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

「郊外のキリスト」(ルオー)

2018年10月28日 22時44分24秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等


 午前中にジョルジュ・ルオーの作品を取り上げた。以前に取り上げた作品にこの作品がある。「郊外のキリスト」。作品がどういう場面を描こうとしたのか、分からない。じつはルオーの展覧会、幾度か見た記憶があるのだが、図録が手元にない。ポストカードも数枚しかない。
 6枚ほど画像をスキャナーで取り込んでパソコンの中に保管されている。しかし2010年5月の標示で、づれもあまり高画質ではない。画像を取り込み始めた頃で、記憶も曖昧になってしまった。図録も今は見当たらない。あるいは図録はショップでめくってみただけで購入はしていなかったのかもしれない。残念なことをしたものである。
 この作品、描かれている街の風景はルオーの生きた時代である。キリストが実在するとしてその時代の風景ではない。手前に成人がひとり、これがキリストなのだろう。その横に子どもがふたり。聖書には登場しないので、聖書のエピソードをルオーの時代に再現したものでもない。
 だが、この夜更けのさびしい寒々しい街の夜景に配された孤独そのものといった「キリスト」と静かに立っている貧しいとしか思えない子どもふたりの静かな立ち姿は何とも言えずに印象的である。
 私はルオーの描く世界の寒々しい、そして孤独の雰囲気にとても惹かれる。ルオーの作品が宗教的か否かはまるで考慮せずに、私の頭の中にそのままスーッと入ってきてしまう。満月のような月も印象的である。

★月天心貧しき町をとおりけり    与謝蕪村

 ルオーの作品に描かれた月は満月なのに高度は低い。まだ月がのぼったばかりか、沈むころの月ではないか。季節的には秋から冬なのだろうか。絵の気分としても秋から冬のようでもある。実刑というよりも、心象の月ということにしておこう。
 蕪村の句では、月は南中しており、普通見上げるとすると高度は60°以上に見上げる月である。イメージは晩秋から冬である。「貧しき町」を手掛かりとして考えると晩秋から冬、そして満月が似合う。満月とは言っていないが、私は満月の方がこの句に沿っていると思う。

 そしてこの「キリスト」と子ども、どんなイメージがルオーの中にあったのだろうか。蕪村とルオー、どこかで共鳴している。

とうがらし

2018年10月28日 20時21分22秒 | 俳句・短歌・詩等関連
 本日近くの生協まで買い物に同行。決行重いものを持たされた。生協は久しぶりであった。往復4千歩ほど。本当はもう少し遠いところまで歩く予定であったが、ぐずぐずしているうちに夕方になってしまった。日曜日なので横浜駅などの繁華街に出かけても家族連れの邪魔になるだけ。おとなしくしていた方がいい。
 夜になったら久しぶりに夜のウォーキングにでも出かけてみたい。入院前のように早く歩くのではなく、4千歩ほどをユックリと。



★空の雲地のとうがらし浮きいづる      庄司たけし
★とり入るる夕の色や唐辛子         高浜虚子


今年は、我が家のベランダに赤いとうがらしが生っている。8月の末、入院直線に園芸店で安いものを購入してきた。しだいに赤が鮮やかになってくるのを楽しむ予定であった。残念ながらそれは叶わなかったが、退院後ときどき玄関に持ってきて楽しんでいる。
 あの赤い色は玄関の暗いところで見るよりは、明るい秋の日の下で見る方がいい。
 高浜虚子の句、夕焼けの色との対比は思いもつかなかった。この句には今初めてお目にかかった。

ジュルジュ・ルオー

2018年10月28日 11時41分17秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等


 日曜美術館で「ジョルジュ・ルオー “聖顔”に込めた魂の救済」を放映、最初から最後まで45分間見ていた。ルオーのキリスト像、道化師像は気に入っている。あの厚塗りの人物像は人に癒しとホッとした瞬間を感ずる。その瞬間の不思議な感情は手放したくないと確かに思う。
 私は信仰や神というものから程遠いところにいる。そのこと自体が私にとって癒しとなっている。それを気づかせてくれるのがルオーの作品群である。

 しばらく汐留ミュージアムにもいっていない。ホームページには次のように記載されている。

「当館の開館15周年、そしてジョルジュ・ルオー(1871−1958)の没後60年となる節目の年に、ルオーの画業の軸である「聖なる 芸術」をテーマに、ヴァチカン美術館所蔵の油彩画など日本未公開作品を含む代表作を多数取り上げて、ルオー芸術とそのモデルニテ(現代性)を再考します。作品に込めた画家のメッセージとともに、ルオーの目指した「愛の最も美しいかたち」をご覧頂きます。」
 「開館15周年特別展 ジョルジュ・ルオー 聖なる芸術とモデルニテ」は12.9まで。