出がけにポストに投函されていたのが岩波書店の「図書11月号」。往復の地下鉄の中で詠むために持って出かけた。いつものように覚書として。

・【表紙】どこにも行けない夢 司 修
「私は、入り口も出口もないわが家を何度も夢見ます。それで実際、非常用縄ハシゴを柱につるしている始末です。」
・蘇る『萬國新史』 小谷汪之
「『萬國新史』は、西欧列強の争覇戦を軸としながらも、その中でさまざまな現地勢力が独自の動きをしたことを重視している。ポーランド分割反対闘争の指導者コシチューシコや、エジプトをオスマン帝国から独立させ、「近代化」を追求したムハンマド・アリーに対する関心は、幕末維新期の対外的危機の克服と「近代化」を喫緊の課題とした明治知識人ならではである。‥」
・女の小説家として生きる イルメラ・日地谷=キルシュネライト 瀬戸内寂聴
「イルメラ やっぱり女性は相変わらずもっと厳しく見られているわけですね。三六年前と現在とどっちが女性作家として仕事しやすいですか。
瀬戸内 私は好きなように生きてきて、それは考えたことがないですね。
イラメラ 例えば期待されることをどこかで感じますか。やっぱり読者とのやりとりもありますでしょ。
瀬戸内 いえいえ。読者なんてどこでどんな人が読んでくれているか、全くわからないもの。書く自分一人ですよ。‥本にしてくれなくたって私は書いたとおもいますね。子どもの時から書くことが好きなのだから。‥ペンを握ったまま、原稿用紙の上にうつ伏して、死にたいですね。」
・家 イリナ・グリゴレ
「映画「惑星ソラリス」の中で、主人公が家に戻ったかのようなシーンが最後にある。家のドアの前で自分の父親を抱いている。このノスタルジックなシーンは原作の本になかったし、タルコフスキー監督が作家と喧嘩もして、批判を浴びた。この映画を何回も見たが、なんでこの終わり方を選んだのか、やっとわかった。ソラリスに預けていた一番大切な記憶があの家だったのだ。遠い未来では、違う宇宙の者が人間の脳を絞ったら、きっと採取的に幼いころの家のイメージが出て来る。お互いに傷つけたり、戦争したり、他の動物を食べたりするが、人間はとてもデリケートな生き物だ。記憶という海のなかには必ず家という島がある。」
2編は省略。残りは別の日に。

・【表紙】どこにも行けない夢 司 修
「私は、入り口も出口もないわが家を何度も夢見ます。それで実際、非常用縄ハシゴを柱につるしている始末です。」
・蘇る『萬國新史』 小谷汪之
「『萬國新史』は、西欧列強の争覇戦を軸としながらも、その中でさまざまな現地勢力が独自の動きをしたことを重視している。ポーランド分割反対闘争の指導者コシチューシコや、エジプトをオスマン帝国から独立させ、「近代化」を追求したムハンマド・アリーに対する関心は、幕末維新期の対外的危機の克服と「近代化」を喫緊の課題とした明治知識人ならではである。‥」
・女の小説家として生きる イルメラ・日地谷=キルシュネライト 瀬戸内寂聴
「イルメラ やっぱり女性は相変わらずもっと厳しく見られているわけですね。三六年前と現在とどっちが女性作家として仕事しやすいですか。
瀬戸内 私は好きなように生きてきて、それは考えたことがないですね。
イラメラ 例えば期待されることをどこかで感じますか。やっぱり読者とのやりとりもありますでしょ。
瀬戸内 いえいえ。読者なんてどこでどんな人が読んでくれているか、全くわからないもの。書く自分一人ですよ。‥本にしてくれなくたって私は書いたとおもいますね。子どもの時から書くことが好きなのだから。‥ペンを握ったまま、原稿用紙の上にうつ伏して、死にたいですね。」
・家 イリナ・グリゴレ
「映画「惑星ソラリス」の中で、主人公が家に戻ったかのようなシーンが最後にある。家のドアの前で自分の父親を抱いている。このノスタルジックなシーンは原作の本になかったし、タルコフスキー監督が作家と喧嘩もして、批判を浴びた。この映画を何回も見たが、なんでこの終わり方を選んだのか、やっとわかった。ソラリスに預けていた一番大切な記憶があの家だったのだ。遠い未来では、違う宇宙の者が人間の脳を絞ったら、きっと採取的に幼いころの家のイメージが出て来る。お互いに傷つけたり、戦争したり、他の動物を食べたりするが、人間はとてもデリケートな生き物だ。記憶という海のなかには必ず家という島がある。」
2編は省略。残りは別の日に。