夜のウォーキングはごく軽く20分ほど。雨で路面が濡れているので滑り易くなっており、用心した。運動靴も新しい上に、メガネが伸張したばかりでまだ慣れていない。そして12日間ずっとかなりの歩数を歩き続けたので、少し休むことも必要であろう。本日はいつもの半分の歩数でとどめた。
本日は十五夜の月、満月は明日。しかし雨上がりの空には雲もなく、月が夜の空に貼りついたように見えた。メガネも新調し、月もことのほか美しく見えた。雲がないので見え方は単調で雲による変化もなかった。面白味がないと言えばその通りだが、それでも月は見えた方がずっといい。
★冬満月からくり人形眼をひらく 雨村敏子
★磔刑の冬満月の出副都心 福嶋千代子
第1句、満月の夜にからくり人形がカッと目を見開いた一瞬。実際に目をひらいたのではないだろう。想像の句であるとおもう。満月に対してからくり人形が自己主張するかのように、目をひらく。
あるいは実際に演技の途中なのか、無人の倉庫の中の出来事か、という解釈もある。だが私は作者の脳内のドラマ、想像の句と思いたい。
いづれにしろある一瞬からくり人形に人間の生が吹き込まれたのであろう。開かれた目はカっと生がみなぎり、作者に迫る力が強烈だったと思われる。
第2句、冬の夜の満月は、太平洋岸では秋よりも空気が乾燥し、そして雲も少ない。薄くのっぺらぼうのような丸い金貨が濃い藍色の空に張り付いている。磔にされたもののように。都心の高層ビルや高層のマンションの間から見る月は、ひらけた土地や山で見るよりも寂しく、そして存在感が軽い。だが、見せしめの磔刑あるいはキリストの磔刑となると、その存在は重い。見せしめの磔刑だとしても罪人とされた人間のどろどろとした個人史が控えている。都心の薄っぺらに見える月にも、人類が古代から見ていた歴史が張り付いていると思うと、それは薄っぺらには見えない。