本日は昨日に引き続きモーツアルトの最後の弦楽四重奏曲4曲を記紀ながら作業を行い、午後には「悪魔の話」(池内紀)を喫茶店で15分ほど。「7.ファウスト博士」を読んだ。
「(ゲーテは「ファウスト第二部」で)自分が語りつつあることにおぞけを震った。いかにも「ファウスト」は、新しい「魔術の時代」の到来を語っている。金(ゴールド)を押しのけて金銭(ゲルト)が大手を振ってのし歩きはじめた。ゲーテは19世紀後半のリアリズム文学などよりもずっと早く、そしてはるかあざやかに、衣装を取り換えて登場してきた錬金術師たちを描き留めた。紙が金である時代には当然のことながら金銭が神である。かつて人々は協会の椅子に坐って祈りをささげた。いまや豪壮な建物を誇る銀行にこそ手を合わせる。もはや勤勉と貯蓄は美徳ではない。より少ない労力で、より高い効率をあげることこそ美徳である。節約はたっとばれない。ムダ使いこそ発展の原動力だ。」