22時半前後に団地の中を一回りしながら、スーパームーン一歩手前の月を見上げてきた。筋雲がとぎれとぎれに空を覆い、満月を絶え間なく雲が通り過ぎていった。それでも肉眼で十分堪能できた。雲のために星は見ることが出来なかった。木星も他のマンションの陰に隠れて見ることは出来なかった。土星が月のすぐそばに見えるはずなのだが、私の視力では月が明るすぎて無理であった。子供の時のように黒い部分の模様はウサギの餅つきには見えない。素直ではなくなってしまった72歳の老人である。
帰宅すると階段室にはカナブンなど小さな虫が壁にいたが、ヤモリとウスバカゲロウが目に付いた。ヤモリは時々見かけるが、本日はスマホを取りに行っている間にお隣のメーターボックスの細い隙間からもぐりこんでしまったらしい。
ウスバカゲロウの一種と思われるものは、実に久しぶりに見た。十数年ぶりである。それだけ私の観察する目が退化しているのであろう。スマホだとどうしてもピントが合わせずらい。この写真も同じ。悲しいが致し方ない。カメラの能力よりも私の技術がスマホの機能に沿っていない。
昨日読んだ「九相図をよむ 朽ちてゆく死体の美術史」の第2章のまとめ。
「第一に、九相図は九相観と呼ばれる観想修行に用いる画像として発生‥。九相図と観想との強い結びつきが首肯される。」
「第二に、観想は浄と不浄の両方について行うもの‥。どちらか一方だけでは不完全‥。九相図の先に浄土へとつながる道が延びている‥。」
「第三に、仏典だけでなく派生した九相詩も、八世紀には日本へもたらされた。‥聖と俗を架橋するテクストとして九相詩は登場した。日本人の精神の原風景ともいうべき、万葉集、平安の和歌へも継承された。日本で描き継がれた九相図を理解する上では、仏典だけではなく、世俗の文学も視野に入れて図像を解釈していく必要がある。‥発心譚、教訓譚、女人教化譚など‥説話の世界観が日本の九相図に一層の深みをもたらしている。」
九相図は日本の絵画では時々目にしていて、気になっていた分野。少しでも読み解きの参考にしたいと思っている。
午後すぐに家を出て、神奈川大学の生協まで出向いて注文していた「全国水害地名をゆく」(谷川彰英、インターナショナル新書(集英社))、「浄土思想」(岩田文昭、中公新書)を受け取った。神大の生協を利用し始めた10年ほど前は単行本を主に注文・購入していた。最近は文庫、新書も注文するようになった。書店で購入することはほとんどなくなった。やはり10%引きというのが理由。いそいで購入する必要のある書籍もこの歳ではほとんどないに等しい。
現在読んでいる「弥勒」と「九相図」を読み終わってから紐解く予定の本である。
購入後、横浜駅馬車道駅経由で神川県立歴史博物館へ直行。2回目の「関東大震災 原点は100年前」展へ。ただし特別展の展示は見ないで、図録と同時に販売していた「月刊地図中心611」の「総特集関東大震災 100年地図画報」、ならびに1910年と1923年震災直後の横浜正金銀行を写した絵葉書を購入した。
「関東大震災100年地図画報」は、別途この展示を見た友人が勧めてくれた。地震の発生メカニズムや津波被害などにも興味があるが、都市被害の実態、復興計画の策定についての知識も今回得たいと思っている。
しばらくは読書の合間にこの二つの図録を見ながら、勉強できると思う。地図資料に関しても「画報」のほうが図録よりも充実しているようにも見受けられる。いづれにしろじっくりと読み比べたいものである。
アストロアーツのホームページを見ると次のような記載がある。【https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/12836_ph230831】
8月31日の満月は今年見える満月のうちで最も大きなものだ。このような満月のことを「スーパームーン」と呼ぶこともある(定義は諸説ある)。
月の公転軌道が楕円であるため月と地球との距離は約36万kmから40万kmの間で変化する。その最接近のタイミングと満月となるタイミングが近いと、月が大きく見えるというわけだ。今年の場合、31日の0時54分ごろに月が地球に約35.7万kmまで最接近し、約9時間半後の10時36分ごろにちょうど満月となる。つまり「30日の深夜から31日の明け方にかけて見える満月」がスーパームーンとなる。また、同じ月の2回目の満月を「ブルームーン」と呼ぶこともあるので、この30~31日の満月は(あくまでも俗称として)「ブルームーンのスーパームーン」とも言える。
なお、今年最小の満月は2月6日(未明~明け方)の満月だった。見かけの直径が約14%も変化するが、眼視では大きさの変化はわかりにくい。同じ拡大率で撮影して比べるとわかりやすいだろう。
(中略)
日本の国立天文台では「スーパームーン」という言葉を使わず「年間最大の満月」と表現しています。この場合は距離や時刻に関わらず、毎年必ず1回だけ起こることになります。
アメリカでは「距離36万km以内の満月」「月の近地点距離を基準として、ある距離範囲内にある満月」などを指してスーパームーンと呼んでいるようです。この場合、一年間で複数の満月がスーパームーンに該当することがあります。
要するに「今年8月の30日の深夜から31日の明け方にかけて見える満月」がスーパームーンということになる。
次回は2037年とのことなので14年後。私は生きていれば86歳、生きていても見ることが出来るのか、心もとない。この世からすでに「おさらば」している可能性のほうが高い。今年はじっくりと満月の顔を眺めておこう。