外国に行くと日本の食事が恋しくて、という声を盛んに聴いたのはいつの頃であったろうか。最近ではあまりそのような話は聞かない。日本の人々の食生活が多様になり、ことに洋風化が著しく進んだためだという。確かに頷ける話だ。同時に普段食べている食事に近いものがレトルトや乾燥食品として手軽に手に入るため、持参してそのような不満を解消しやすくなっていることも考えられる。
私も妻の意見をいれて、味噌汁と蕎麦の乾燥食品を持っていったが、結局は食べることは無く、もったいないが最終日のホテルに放置して帰ってきた。
ツアーのホテルでの食事と、3回ほどの外に出向いて自分たちでレストランを探してとった夕食の経験からいうと、イタリアの食事の特徴は
1.野菜が思ったほど多くない。特に朝食にサラダがない。これは以外であった。
2.バスタ類が「主食」扱いではなく「副食」「惣菜」扱い。
3.蒸留酒がなく、ビールとワインが主。ただしどちらもとてもおいしい。
4.肉は硬いが、肉の味がしっかり味わえる。
5.魚介類が豊富。
6.ドレッシングは稀で、オリーブオイル・バルサミコ酢・塩・胡椒をそのまま供す。
7.パンは固めで(日本でいうフランスパンのよう)、塩味がほとんど感じられない。
8.チーズの種類が多く、いづれもおいしい。特に朝食に供されることが多い。
9.甘いものの量が多く、デザートの甘さと量には驚く。
等々が気付いた点である。
家庭料理を味わったわけでもないので、あくまでもホテルとレストランでの経験だけの感想である。乏しい体験だけに基づく感想である。
ワインを蒸留したお酒(ブランデーではない)で40度近い無職透明なものが、お土産店で売られており、家庭ではよく飲まれると書いてあったが、レストランではあまり見かけなかった。私はこれも欲しかったが‥。これはたまたまそのような機会が無かったからかもしれない。
サラダにはオリーブオイルとバルサミコ酢と塩・胡椒を自分の好みで掛けるだけなのだが、これはなかなかおいしい。特にバルサミコ酢と塩の加減で随分と風味が違ってくる。妻は日本でバルサミコ酢を食べてみてあまり好みでは無いと敬遠してきたらしい。しかしイタリアで食べてみて印象がとてもよかったようだ。日本にかえって早速オリーブオイルとオーガニックなバルサミコ酢を買い込んできた。私も楽しんで食べている。
日本でも韓国でも肉は柔らかいものが価値がある。中国料理でも柔らかく煮込む。しかしイタリア(欧米全体か?)では、骨付き肉を火が通るまで焼いて供している。噛み応えは充分あり、噛み切れないとの評が同行のツアー客から出ていた。しかし、私は噛みしめることで肉の味を感じた。肉とはそのような味わい方が本来なのかもしれないと思った。
魚介類、私の食べたスズキ、タコ、イカ‥いづれもトマト味で煮込んだものだったが大変おいしく食べることが出来た。肉よりもスープの味をしっかりしみこませた丁寧なつくりに感じた。
名物の手長エビは私が普段食べるエビより身はうすっぺらだが、数段味が濃いものだと思う。殻ごと食べてみたが、長い手の部分以外は固くて私にも全部の殻を食べるのはできなかった。イカ墨のパスタは日本のものより淡泊に感じた。この方が私には嬉しい。
コース料理では、まずパスタ類が一皿ないし二皿でてから、肉類等のメインディッシュが出てくるので、量が多くて肉類を食べきることが出来ない。イタリアの人々(欧米全体か)に較べて摂取する量が日本の人々はとても少ないようだ。その上にボリューム満点で甘いデザートが出てくる。これはもう私には、お手上げである。
食事については、そんな感想をもった。私の外国での経験が韓国とベトナムだけという、本当に少ない経験だけなので、日本でとっている食事との比較だけである。しかも日本の食事の精髄すらわきまえていないということも踏まえて、あくまで体験的感想として読んで欲しい。
食材のお土産としては、乾燥トマトを買ってみた。日本でも売っているが器が気に入った。バルサミコ酢は高価であったのでお土産としては断念したが、日本でもオーガニックのものが手ごろな値段で売っていたのでそれを購入した。