ピーターパンのお話。だが、作が別役実だからまともなわけがないと思って、鑑賞する。そしてそれは当たる。かなりあちこちで別役の一流エスプリが散らべられているのだが、さすがこれは子供向けのミュージカル、それはそれほど目立たず、劇は進行する。
でも、だって、ピーターパンは少年ではなく、初老のおじさんなんですぞ。もうそれだけで、別役の意図がわかるというもの。全般において楽しかったけれど、やはり生きてゆくこ . . . 本文を読む
ウイングフィールドという小さな劇場だが、さすがグランドロマン、この劇場を使い切っていて、90分あっという間だった。
演劇論に至る結構まじめな試みをこの劇団一流の昭和時代のつぶやき風をぶつぶつ吹き回し、ウフフと笑わせる仕組み。ただ、そんなエスプリも、考えていたら劇はさっさと先を進んでいるので、置いとけぼりに遭ってしまう。
テーマは演劇の8・1/2だと思うんだが、途中で教育現場が入ってきたり私は整 . . . 本文を読む
若い劇団。総勢11人ほどで、小さな舞台を大きく見せるテーマがいいね。
話は、なんとなく途中で分かってしまうが、でも若い人たちが昔物語よろしく日本の伝統の妖怪たちや妖精を現代によみがえらせたのがうれしい。2時間近い劇だが、みんなセリフにとちりもなく、練習十分。主人公の少年も途中までは女性と気づかないほど少年してた。みんなうまいね。
敢えて言えば、あの豪華絢爛な妖怪たち、ダンスでもあればなお良かっ . . . 本文を読む
土田氏の作品だから見ておこうと見た演劇でした。とても卑近な話で、また会社勤めをしたことのある人ならだれもが悩む事柄を、実に等身大の距離感覚を持って演じられました。
登場人物がみんなキラキラ輝いており(それなりにみんな影を持ってはいるが)、2時間強の劇はアッという間に終わってしまう。いい小説を読んだ後に残る読後感もさわやか。素晴らしい演劇でした。
前半からちょっといい加減人間めいた役柄だった人た . . . 本文を読む
旗揚げ公演でここまで完成度が高いとまず驚きます。設定は少々異常だが、不気味で哀しい現代をしっかりと描いていると思う。時間も90分越え。立派だねえ。頼もしい劇団が誕生した瞬間をしかと見た。
暗幕が始まる寸前に使用した小道具をすべて大切に堀炬燵のような空間に放り込む。これが面白かった。最後は主人公までも同じく空間に放り込む。これは何を意味するのか不明だが、今まで見てきた劇では皆無の手法だ。次作がもう . . . 本文を読む
幼稚園の大きなイベントが終わり、後片付けをしている先生たち。何気ない会話がとても高尚で、私には天から聞こえる啓示にも思えるほど、ひとつづつセリフを噛みしめ聞いている。幼児とはいえ、相手をよく見ており、知っている。
途中、バタバタする小事件が続くが、全体として、この劇は一つのポエムだと思えてきた。詩情が流れているのだ。美しい。けれどところどころ怖い。いい劇だ。敢えて言えば、どこかに笑いもあればなお . . . 本文を読む
学生演劇、もちろんみんな若い、若いからこそできる芝居もある。ところがこの劇、いたっておじさん風設定の怪盗黒頭巾こと朧小僧のお出ましだ。500年先の月よりの使者も駆けつけ現代風をアピールしているが敢えて昭和風時代劇ともいえる。
でも楽しいのだ。時間はゆうに2時間を超えるが、気にならない。俳優陣も総勢30人ほど。タテも練習十分、気迫がみなぎっている。敢えて言うと、後半がエンタメ十分なのだがが、前半は . . . 本文を読む
総勢18人による架空の国の戦乱もの、というか全編ファンタジーゲームを見ているかのよう、目まぐるしく変わる話が一つ一つ魅力的だ。
私のような老爺からはヤング好みの演劇だが、それがとても分かりやすく見入ってしまった。それはみんなセリフのトチリもなく、練習十分だということ、さらに俳優陣のそれぞれの役割もきちんと描けていて、主役が何人もいるかのように多彩でもあることによる。
主役の3人は言わずもがな、 . . . 本文を読む
学生演劇では既成の脚本を演じる演劇がほとんどだが、今回は立派にちゃんと脚本を書いた劇である。その本もなかなかユニーク。趣向も凝らして見栄えがする舞台である。雨蝶天さんはなかなか才能がありますね。70分、十分緊張感も切れず、いい舞台でした。
セリフ回しは少しぎこちない役者さんもいるけれど、でも聞き苦しくはない。何しろみんな大いに若い。その若さがあ全般的にこの劇のかさ上げをしている。パワーがあるのだ . . . 本文を読む
柳田国男の遠野物語を基本イメージに置いた山本ファンタジーというべきか、僕はジブリの映画を見ているような錯覚さえ覚えた。洗練されてる大道具、小道具を多用した視覚的美術、そして何より鍛えられたピッコロ劇団の面々、物静かで悲しいが確かな命のあしおと、それは人間への祝福のエールとなり脈々と続いてゆく、、。もうこの100分は至福の時間でした。
なんだかんだ言っても、この舞台の彩りが若く、透き通り、エレガン . . . 本文を読む
以前他劇団で上演したらしい演目です。内藤氏らしいいつものパターンだが、冒頭の水辺での事故もそれほど尾を引かないし、肝心の借金マニアのダメ先生もなんだかなあ、ピンとこないです。
それぞれの役者さんたちの演技はそりゃあよくできてます。でも今回は吾輩に迫ってくるものがちとおとなしかった感がします。テーマ性がいつものように前面に出していないように感じられるのは吾輩だけでしょうか、、?
この劇団は事務所 . . . 本文を読む
突撃金魚は好きで、東京にまで遠征したこともあった。そのうちサリngROCKさんが出演しなくなり、山田蟲男さんは大きく変身する。作品も軽妙で少女っぽい軽やかさを持った作品から重く暗いものが多くなっている。でもずっと見ているのだが、、。
今回はなんと出演がかなり遠のいていたサリngROCKさんの久々の出演で、もう見る前から少々精神高揚気味。そしてそれは叶った。それだけで私的には十分なのだが、この作品 . . . 本文を読む
いろんな話をいつも様々に展開してくれる1mg。今回はぐっとハートウォーミングの、笑いあり、涙ありの演劇の原点に戻ったかのようないい劇でした。
劇場に入ると、古ぼけたアパートの設定なんだが、大道具が斬新で美しい。住民の俳優陣の演技もてきぱきしていてそれがまた美しい。そういえばみんな若く、また美男美女ばかりで、見ているだけで気持ちがさわやかになる。
いい話なのである。そこに、時代を20年時間軸を動 . . . 本文を読む
中編2本。「FROM~」は一人芝居。福島の被災者から日本に送るメッセージの集大成だと思う。もう13年か。されど日本人はもう忘れかけているのではないか。そんな思いを小さな熱源にして被災者からというより、もう一人間として響くように心から叫び続ける女性。その姿は圧倒的だ。
確かに、2年ほど前福島に一泊したが、町は完全復興を遂げ、この大きな災害には見ただけではあったかどうかさえ忘れるほどだった。しかし、 . . . 本文を読む
北村想原作、演出が流山児祥、俳優陣はロートル(失礼!)女性陣と聞いて、即東京にまで馳せ詣でしてみたいか、そうでもないか、、、。
私はあの小さな早稲田駅前の劇場でどんなバカ騒ぎが垣間見れるか気になってしまいとうとう東上してしまう。相変わらず現物の流山児祥は荘厳で元気。懐かしさを超え、時間間隔がなくなってしまう。
話は面白おかしい「怒れる12人の男たち」のすれすれパロディをといえようか、グロテスク . . . 本文を読む