昭和30年代から40年代の小さな映画館での出来事。映画と映画の幕間に芸人風の人が漫談で観客を笑わせ、退屈させないでいた、という稀有な話。下関では実際あったんだろうなあ。それだけの話だったんだが、彼が在日朝鮮人だったということで話がどんどん飛んでいく。
貧困で、子供を捨ててしまう人はその当時も、そりゃ、ざらにいたワイ。
話が見え透いている上に、なぜか韓国までその男を捜し続ける一人のルポライター。
い . . . 本文を読む
何か別にどうと言うことのない普通のアメリカ映画。コーエンらしいひねりもない。ちょっと前の「フォレスト・ガンプ」のイメージ。明るいよな。明るすぎるよな。良くも悪くもアメリカ過ぎるよな。
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日本が中国を侵略していたときの中国側のテロリストたちとそれに立ち向かう当局たちとの闘い。と書けば冷たい灰色の感じの映像を思い浮かべるが、チャン・ツィイー と仲村トオルのカップル、しかもリィウ・イェまでがそれに割り込んでくるのだから甘いラブストーリーの色合いが増すことになる。
と、結構娯楽的な作品に思えるのだが、映像で人間を語ろうとする監督のこだわりが見えて、セリフも極端に少ない。観客は揺れる心の映 . . . 本文を読む
いやあ、壮厳たる奥行きのある展開、映画的魅力、心地よいリズム、三部作のラストを飾る広がり、、あまりに整然と堂々としているのに驚く。見終わった後、しばらく席を立てなかった。人間の業・罪、人間を裁くことが一体全体人間に出来るのか、人間に救済はあるのか、人間はそれでも生きてゆくのか、、、。
文学的なテーマをよく映画という媒体にここまで表現出来得たと思う。
見終わった後のカタルシスは意外と清浄である。今年 . . . 本文を読む
うーん。参った。予告編から雑な作りのちゃちな映画かもと思っていたんだが、演出、映像かなり本格的なのである。しかも、それぞれ話の間合いもうまい。何よりも最初から最後までピュアで通したことがすごい。このピュア度は今年の映画でもダントツではないだろうか、、。
まず、堤真一の演技が人が違ったかのようにすごい。メリハリが利いていてさすがの演技。
次に、問題の吉岡秀隆、あの長髪が今回はイメージ作りにプラスに。 . . . 本文を読む
前半はまあ楽しめたのに、後半になってから完全暴走しちゃうので、捕まえるのにほとほと疲れ始め、自分の中で醒めた感覚が出て来はじめたら、TAKESHIからまとわりつかれないように距離を置きはじめた。
北野武の映画を見てこのような感覚は初めてである。
ラストも、シンメトリーを意識したところで、もうこの作品は暴発しちゃったかな、と思っている。次回作はどうなることやら、今から心配し始めている。
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アメリカでロック以外の音楽をばんばん聞くのも久しぶり。僕にはかなり快い音楽映画と言える。
しかしラブストーリーなのか、父親を想う映画なのか、絶望から希望を見出す一人の男の物語なのか、テーマが拡散された嫌いがした。
ダンストとの出会いも何か自然でないし、全体に造られた映画の感が強い。
予告編と印象がこれほど違う映画もまた珍しいのではないか。
特に告別式でのパーティーでの日本とアメリカとの違いはあまり . . . 本文を読む
ホン・サンスは僕は初めて。なかなかいいセンスを持っているかなりユニークな作家だ。
セリフの一つ一つが独特で面白い。お互いに噛み合わない毒気。思いやりのない感情だけのぶつけ合い。聞いていると何気ない通常の会話なのだが、現代の疎外と孤独感を否が応でも感じさせる。
これって、日常的で、そう、僕らがいつも他人との会話で感じているものだ。
今までの映画って、練られたセリフで現代人の孤独を描いたものは多いが、 . . . 本文を読む
意外やラスト近くになるに従い救済のロシア文学っぽくなる。全体に説明過多のため映画的高揚間は乏しいが、それでも岩下志麻の魅力はこの若さで充満する。着物の美しさ、艶やかさは例えようもないほどの贅沢感。左幸子が一瞬だが光る。
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スローなテンポに最初は少々苛々するも、まあ亡き恋人をしのび、その未知の世界に入ろうとする女性の物語だから、見る方もゆったりとした気持ちで眺めるべきなのである。
でも、ストーリーも最初から読めているから映像が美しくなければこの手の映画は持ちません。その映像が意外や凝ってないというか、凡庸なんだ。
まあ、ラストであっと驚く布石があるので、少々は感動しましたが、、。
素材がちょっと古いので、もっと斬新な . . . 本文を読む
うまく出来ているドラマだ。心中って、現代では死語に近いのかなあと思っていたけれど、現代における心中未遂の顛末を、若い二人の夫婦を交錯させ、絶望・諦観・究極の愛、、を描く。演出も斬新でうまい。
いやあ、面白かった。
最近こういう時間軸の交錯映画って「運命じゃない人」「サマータイムマシンブルース
」と続くけれど、流行ってるのかな。
4人の心理、特に主役の二人の心理をそれぞれの妻、夫側からもミステリー的 . . . 本文を読む
幸せに満ちた最大の瞬間を求め、愛を感じなくなったときにこの世を去る、そのときには、、という哲学的な命題を自分の恋愛になぞらえて事件を起こしてしまう若者たちの話。
と、かなり面白そうなテーマなので映画的にも興味深々、しかも愚作のないドイツ映画とくれば期待度も高まるのも仕方がないところ。
だが、時代も若者たちの思考も少しデカダン的で、何より肝心の事件へのプロセスが、思想的な哲学的なものではなく、ただ二 . . . 本文を読む