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女は男の未来だ (2004/韓国=仏)(ホン・サンス)

2005-11-11 23:21:23 | 映画遍歴
ホン・サンスは僕は初めて。なかなかいいセンスを持っているかなりユニークな作家だ。
セリフの一つ一つが独特で面白い。お互いに噛み合わない毒気。思いやりのない感情だけのぶつけ合い。聞いていると何気ない通常の会話なのだが、現代の疎外と孤独感を否が応でも感じさせる。
これって、日常的で、そう、僕らがいつも他人との会話で感じているものだ。
今までの映画って、練られたセリフで現代人の孤独を描いたものは多いが、この映画は練られてはいるんだが、さりげなく日常語に徹底しているので、その浄化されていることに気づかないままドラマは進む。
こういう映画もまあ珍しい。韓国ではおそらく初めてだろう。
男2女1の定番恋愛ドラマもめちゃくちゃ解体してしまう。そこには未来はない。未来を志向しながら飛べない人間たちを描いていく。
僕は1時間30分、とても楽しくシニカルに久々に映画的でない日常会話を堪能できた。
だがそこには今まで映像が求めていた人間への希求といったプラス志向は一片たりともない。
現代にたたずみ前へも後ろへも動けない人間どもがうごめくだけだ。
ソン・ヒョンア、久々の大型女優。どのシーンでも存在感がある。彼女以外ではこの役は全く違ったものになる。
ユ・ジテ、太ってしまった。俳優的にも危機かもしれないぞ。持ち味の繊細感が出せなくなる。
だがこの映画、観客を徹底的に選ぶ映画である。
ちなみに、金曜の新宿の午後7時にもかかわらず観客は10人程度であった。
でも僕はこの映画、かなり好き、すこぶるご機嫌である。
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