今や突然ベストセラー作家にのし上がった中町 信のデビュー作。だいたい昔からミステリーは読んではいるが、この著者のことはあまり知らない。なぜ彼は急に現代に甦ったのか?
読んでみると、何か懐かしいレトロな感じがする。恋人の自殺に不信を募らせる女性が単独で探偵ごっこをしていく話。こういうのは昔からよくある。さすが個人情報とやらで人のことを話せなくなってきた現代においては、こういう探偵ごっこはもはやもは . . . 本文を読む
映画的には面白い構成を取っており、ゴメスはなかなか映画オタクだと分かる作品である。(失礼な言い方ですね。) 前半は16ミリの荒いモノクロ映像。後半は32ミリの同じくモノクロ映像、しかもほとんどサイレント映画となる。
前半の主役、お隣のおせっかいさんが結局皆目分からないんだよね。彼女は主役でもなく(結局彼女の内面を掘り下げるシーンは皆無。)、後半になると全く出て来ずじまい。前半はただお隣さんの、困 . . . 本文を読む
またしても見てしまうホン・サンス作品。この何気ないのほほんとした空気感が好きなんだよな。今回はフランスの大女優イザベル・ユペールを迎えて3つの、ある意味人を食ったような軽妙なお話である。
ところが西洋の大女優を主演させてもサンス節は全く変わらず、全然違和感がない。韓国ではリゾート地らしいが、日本だったらどこか田舎の海水浴場としか思えない海辺が今回の舞台。俳優も美男美女が出ているわけではない。
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誰が出るのか知らずに見た映画だったが、何と超大物がわんさ出ている。しかも今までやったことのないような特異な役柄でそれだけで観客席はショック状態。とか、ちょっと大げさだが各スターたちはその役柄の異様さで引き受けたのだろう、と思う。
普通はこういう役は拒むのだが、彼らは挑戦した。それは勇気あることだと思う。けれどもこの作品は彼らのチャレンジ精神を受けるにはほど遠い作品ではないか、と思う。
たとえば . . . 本文を読む
前作パリ版は少々退屈した記憶があるが、パリからニューヨークに変わり、テンポが速く面白さは倍増。アドリブ風の脚本も考えたらよく練られていることが分かる。これはデルピーの成長記録だ。
芯はやはり夫役のクリス・ロックだろう。達者な演技でしかっと決め、受け止めている。こんなにうまい役者だったっけ?父親役のA・デルピーも風貌と言いまさに年寄りのやんちゃをうまく好演。
途中でこれは女性版ウッディ・アレンだ . . . 本文を読む
アニメなんて言ってはいけないほど綿密な絵。それはフィルム映画と全く遜色がないほどだ。集団のシーンでも一人一人、顔の表情が違い、全く劇映画のごとくであります。唸りました。
声も有名スターを脇役に退け、どっぷり画面に浸ることのできたのはさすが宮崎の秀逸で繊細な贈り物だ。最近多いスター声優への余計な入り込みが少なくよかった。宮崎の世界に自然に反応出来た。
出し物はアニメでもきついNHKプロジェクトも . . . 本文を読む
突然失踪した母親の話から始まるもんで、そこから拡幅する話だろうと思っていたので、まさか、あの陰惨な結婚詐欺事件と結びつけるまで時間がかかった。
舞台が狭く、しかも後方にコントラバスとアコ-デオンの生演奏が入る。自然とそれでなくとも狭い舞台空間が狭隘化されてしまう感じだった。
右側前方に殺害される男たちが落ちて行く。怖いなあ。
けれどさくらさんが実にすがすがしく、事件そのものの陰惨なイメージが . . . 本文を読む