映画的には面白い構成を取っており、ゴメスはなかなか映画オタクだと分かる作品である。(失礼な言い方ですね。) 前半は16ミリの荒いモノクロ映像。後半は32ミリの同じくモノクロ映像、しかもほとんどサイレント映画となる。
前半の主役、お隣のおせっかいさんが結局皆目分からないんだよね。彼女は主役でもなく(結局彼女の内面を掘り下げるシーンは皆無。)、後半になると全く出て来ずじまい。前半はただお隣さんの、困り者老女を紹介するにとどまる。
ところが後半になるとこのどうでもよかった風な老女が、何と一生を賭けた愛の逃避行をした女だということが映像で示される。夫以外の男と愛を交わし、子供を産み、邪魔する愛人の友人をピストルで殺害し、今はリスボンで贅沢三昧して、わが娘にも嫌われる老女となっていた、ということが映像で語られる。
これだったら、後半だけで映画としては十分なのではないか、というのが凡庸な人間の考えることです。
モノクロと言ってもそれほど美しい映像だとも思わなかったし、結局僕には関係のない映画作家なのだろう、僕の内面に入り込む余地はほとんど何もなく、ただ何の余韻もなく映画館を出たのであった。
結構評判がいい映画であったが、僕の映画の見方がただお粗末なだけなのだろう。真夏のギンギラリンの太陽がやたら痛かった。
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