言葉は、その前提が失われたとき、ほとんどの場合において有害なものとなる。例えば、「芸術は感情の奔流から生まれる」という言葉があったとしよう。思うにこの言葉は、「芸術は手法や論理だけで成り立っているし理解もできる」という見方への反論としてなら非常に重要なものだ。しかしながら、もしこの言葉だけを取り出し、「芸術において感情が優先する」だとか「論理で計れぬものこそ芸術だ」などと言い出すなら、言葉に踊らさ . . . 本文を読む
読書というのは一種のリズムではないか、と思うことがある。もっとくだけて言えば、「ノリ」が重要なのではないだろうか。例えばコンディション次第では本の内容が全く頭に入ってこない、という経験がおそらく誰にでもあると思う。
私自身も、この「ノリ」を制御できたことは正直ただの一度もない。こないだのドストエフスキーはその良い例で、『カラマーゾフの兄弟』を読み終えて『罪と罰』へと向かい、『永遠の夫』『悪霊』 . . . 本文を読む