終末の過ごし方~不治の病とのアナロジー~

2011-10-13 18:09:12 | ゲームよろず

え、緑シナリオの話するつもりだったんちゃうの?予定が変わった理由は別の機会に話すとして、今回は「終末」の状況と作中人物の行動を不治の病で喩えてみたいと思う(余談だが、かつて「君が望むサバイバーズ・ギルト」という記事では末期ガン患者の振舞を例として挙げたことがある)。

 

このアナロジーは俺が後付け的に持ち出したものではなく、二日目冒頭のラジオでD.J.WALKが言及したものである。以下、そのやり取りを引用する(それにしても、作中人物の行動にプレイヤーが違和感を持ち始めるこのタイミングでこうして疑問へのレスポンスを入れてくるあたりがすごい)。

 

「今日の一発めは宮城県仙台市から、このご時世に無線で『HARD DAYz knight』までメッセージをくれた高校生、Renの貴重な投稿を紹介しよう。・・・というかまさに無線が繋がってるんだけど、Ren?聞えてる?どうョ?」

「あ、聞えて・・・ます。こんにちはD.J.WALKさん。感激です!」

「ははっオレもだよ。こんな状態になって、まだリスナーのみんなと話ができるなんてね!…ところで、Renは仙台に住んでるそうだけどそっちの様子はどぅョ?治安とか食料とか問題ナシ?」

「ハイ、大体大丈夫みたいです。最初はやっぱり暴動とかあったんですけど・・・今は小康状態っていうのか、皆とりあえず落ち着いているのでひと安心です・・・。ただ、浄水施設になにかあったみたいで、水道水が濁りはじめてるのがコワイですけど」

「あー水はこわいワ。今はまだミネラルウォーターがあるからいいだろうけどナ。ま、でも他はとりあえず問題ナシってトコ?」

「あ、ハイ」

「ふーん。例えば、病院なんかでも癌や不治が宣告された患者ってのは最初にとまどい、やがて周囲への憎悪、最後に泣きか諦めがクルってゆーけど・・・治安についても似たようなモンだな。わけわかんない状態で暴れて、しばらくしてムダだってわかるとだいたい落ち着―」

 

先ごろ震災を経験した俺たち(つーか東日本の人間と言った方がいいか)にとっては生々しく感じるやり取りだと思うが、ここで重要なのは作者が作中人物の行動原理を理解してもらうために、極めて的確な例を出していることだろう。

 

このアナロジーを前提にしてなお「行動」すべきと言うのは、不治の病にかかったら(実際にはそうではないが)人は命燃え尽きるその瞬間まで死に物狂いで行動すべきであると言うのと同義だが、一体いかなる理由でそのように考えるのか?というか本当にそこまで考えているのか?まあ考えてたらそれがストレートに表明されるだろうから、考えてない(あるいは読めてない)だけというのが俺の見解。しかしそれにしても、ここまであからさまでわかりやすい思考のヒント[フック]が作中にあるにもかかわらず、なぜそれがスルーされてしまうのか?あるいは何がスルーさせてしまうのか?

 

繰り返しになるが、これが俺の疑問である。


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