フラグメント209:菜摘ひかる

2018-11-15 17:27:42 | フラグメント

数年前の覚書を読み返すと、全く何を言いたいのかわからない場合と、自分がいかにクレイGかを実感させられる場合と、今も全く同じ問題意識を持っていて呆れる場合の三種類があるが、これはどうなんだろうなあ・・・菜摘ひかるの本を初めて読んだのは数年前だが、彼女の書いた作品を大方読み、また彼女がすでに若くして亡くなっていることを知った時の喪失感の正体を実はまだ自分でよく整理・理解できていないというのが実情。そこに無理やり自分が問題意識を持っている話をくっつけようとして、迷走している感が否めないが、まあその混乱してる状態をそのまま残しておくのも一興かと思う次第である(いずれ読み返して整理がつくかもしれんしね)。ただ、セクハラ問題、AVの強要問題などにもつながる話ではある、とだけ書いておこう。

 

<恋は肉色>

とても虚心には読めない。

私は買う側なわけだけど、言う事はよく解る。なぜにこうも男どもは女性が「素」だと信じ込めるのだろうか?と。ゲームをやってるだけだ。特に接客とか営業のお仕事をやっていれば当たり前の感覚なのに、どうしてそれらに携わっているはずの男連中が風俗はそうではないと思うのか(思えるのか)が全く理解できん。いやまあ「性愛と宗教だけが包括的承認を与える」という宮台真司風の説明を通じて、その点だけは違う[=戦略的振る舞いではない]という思い込みが生じやすいから、と理解はできるのだが(納得はできない)。とはいえ、菜摘ひかるの聡明さがある種痛々しくも感じるのは、彼女がその仕事を行う理由が自身の承認への渇望にも基づいていることを見抜いていたからではないか。

もし、他人が金でしかないくらい省みる価値のない存在だと不遜にも決めつけて疑わなかったならば、果たして彼女の作品がこれほど胸を打つものとなったであろうか?言い換えれば、彼女の痛々しいまでの聡明さと純粋さと渇望こそが我々(私)の心を捕えて離さないのと同時に、彼女を殺しもしたのだと私には思えるのである。

ともあれ、私が書いている風俗の記事と処女性の話、「君が望む永遠」「さよならを教えて」といったエロゲーの話が繋がっているなんて信じられないという方にはぜひ、「性的冒険」「恋は肉色」を強くお勧めしたい。

 

これが風俗嬢の心情を綴ったものだと。私は矮小化だと思う。岡崎京子江古田ちゃんアラサーちゃん、AV女優の~?[注:おそらく「AV女優ギリギリモザイク」のことだろう]、AV女優の社会学。男性のナイーブさ、女性に対する無理解はあちこちで作品化。表面化されている。大なり小なりこのような目線にさらされつつ生きている。

加えて、ここに出てくる客の純粋さへのナイーブなまでの渇望は、「心の底からIしてる」の話を思い出させる。はっきり言ってあれがいわゆる「オタク」と呼ばれるような人たち固有の問題とは全く思っていない。存在するのは、ただグラデーションにすぎないのだ。別の視点だが、「君が望む永遠」への反応に関してはその凡庸さを説いた。つまり、「オタク」やエロゲーユーザーといった狭い範囲に限定すべきものではないのだ。これについて、本来4月に(つい最近見つけた)「嫌オタク流」という本を取り上げて記事にする予定だったが、この5月にはまとめて上げたい。

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