森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

カナウツギ(バラ科)

2006年06月12日 | 自然観察日記
 新潟にはほとんどないのだけれど、コゴメウツギという太平洋側ではごくありふれた潅木があるが、それより少し大型なのがこのカナウツギ。まだ花の咲く時期でなかったのが残念だが、もっとも大して見栄えのするものでもないから写真でお見せするほどのものでもない。花を見に行ったというより、そこにあることを確かめに行った。少々藪こぎをしたせいで、昨日の話のヤマヒルの餌食になったことになる。
 このカナウツギ、どうしてこの越後の中ほど三条の山地にあるのかが疑問なのである。この地にはかなりの個体数があるが、県内の他にはない。他県の分布を調べるとやや東~北日本に偏っていて富士山近辺に多いというが、局所的というわけではないようだ。越後の生育地はいわゆる隔離分布ということになる。
 さて、この種が分布的な特異な面を見せている訳はなぜだろうか。フォッサマグナと関係付ける人もいるという。いずれにせよ面白い歴史がこの植物にはあるのだということを紹介したいために取り上げた。自然の長い悠久の時間を推理するのも「また楽しからずや」である。