森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

ヒメシャラ(ツバキ科)

2006年06月24日 | 自然観察日記
 ヒメシャラと最初に出会ったのは静岡の山中で、大井川の源流部にある南アルプスの登山口に向かうバスの中から見たものだった。初めて見る光景だからかなりの驚きで、サルスベリのような樹肌をした樹が林立する光景が脳裏に焼きついている。
 以来西日本の山中で何度と無く出会ったが、中でも屋久島の山中で出会ったものは圧巻であった。葉や花は小ぶりでも樹は大木になるのだが、屋久島の個体は半端ではない。それもスーッと高く伸びているのでなく、くにゃくにゃと曲がりながら、中には地面を這うようにして直径1mくらいの巨木がたくさんある。それが全て赤い樹肌をしているのだから、その光景を想像してもらうと凄さがわかるであろう。もう一度あの姿が見たいと思う。
 我が家の個体の故郷は奈良の大台ケ原近辺。大台ケ原に向かう山道の沢に降りて散策していたとき、川原に芽生えていた幼木を家に連れてきた。今では5~6mの樹に育ち毎年花を見せてくれる。これ以上高木になるとどうしたものかと思案している。
 

ナツツバキ(ツバキ科)

2006年06月24日 | 自然観察日記
 我が家はナツツバキ(シャラノキ)とヒメシャラが並んで生えている。両者が今花をつけていて、その違いを見るのにちょうどいい。花の咲きだしは数日ヒメシャラの方が早かった。「ヒメ」はやっぱり小型のものにつけた名前で葉も花も小ぶりである。
 ツバキの仲間だが花が清楚でくどくないから私は好きなほうである。木肌は共に滑らかだがナツツバキは赤味がっかた灰色でヒメシャラのサビ色に近い赤さだ。丁度サルスベリの樹肌に似ている。
 ナツツバキは越後の海岸山地のところどころに自生を見るが、ヒメシャラは無い。もっとも、ナツツバキの園芸化は進んでいて、公園樹や街路樹に植栽が頻繁である。しかし、ヒメシャラは公園樹としても越後では見ない。この差は何であろうか。ヒメシャラの花は小ぶりだが、樹肌は十分鑑賞価値があるように思うのだが。