ナツトウダイがありました。山麓部に比較的よく出てきましたが上部の尾根近くになると姿が見えません。乾燥気味の場所には生育していないのでしょうか。トウダイグサ科の多年草です。地味な花ながらとにかく変わった花ですからついつい観てしまいます。そのたびに疑問に思うことが出てきて何度観てもよくわからな植物です。
一般的にトウダイグサ科の花序を杯状花序といいます。2枚の苞葉を持ちそれに包まれて1つの花と二股に分かれた新たな花径が伸びてその先にまた苞葉に包まれた花を作っています。一・二回こんなことを繰り返して全体的な花序になっています。この写真の場合中央部の塊が一つの花その脇から出ている2つの苞葉に包まれているものが次の花です。
基部にある花の部分を拡大してみました。カブトムシの角みたいな4つの三日月形のものを腺体といい蜜が分泌されます。この花はめしべが見当たりませんから雄花ということになるのでしょうか。あるいは先がちょこんとかを出しているのがめしべの柱頭部分かもしれません。おしべはすでに花粉を出しています。
まだ苞葉に包まれている花を開いてみました。中には子房が膨らんでいるめしべが出てきましたから雌花になります。白い乳液は苞葉を開いた際傷ついた場所から出てきたものですが、有毒植物ですから触れるとかぶれる人もいるのではないでしょうか。
ナツトウダイの県内の分布はかなり特徴があります。ざっくり言って県の南半分には自生していなくて北半分に見られる種です。したがって長岡や柏崎・上越・糸魚川地域では見られません(わずかに採集されている地域もありますが、大きな空白域になっていることは確か)。この弥彦山塊にはかなり個体数が多く特異的な地域になっているようです。ただ、全国的には北海道から九州まで自生している種とされます。