丘陵公園の里山の個体はまだ深い雪ノ下。花軸が残っていても厚い雪で押しつぶされていることでしょう。伊豆半島の個体はもちろんもう花はありませんが花が付いていた痕跡を残してしっかり立っています。ただ、薄暗い散策路の苔むした岩の上ですから気づく人は誰もいなことでしょう。
ヒメユズリハの樹肌は滑らかというほどでもなく剥げるような樹皮もありません。エゾユズリハは低木で伏した樹形になります。ユズリハとヒメユズリハは立ち上がり高木になります。ちょうどユキツバキとヤブツバキとの関係によく似ています。前者は伏した樹形、後者は立木です。
湿った暖帯林に見られるイズセンリョウ。もちろんここで初めて認識しました。ヤブコウジ科の常緑の低木であることが調べで分かりましたが、この株を見たときは何にあたはまるのか見当がつきませんでした。いろいろ調べることで確信が持てるようになって来ます。その過程も充実して面白い時間になります。
イズセンリョウは開花が4月から5月頃なのだそうです。このつぼみは昨年秋にはすでに伸びだしていたそうです。つぼみから果実が完成するまで1年以上かかる計算になります。房状の花序で白い小さな花が咲くようです。
暖帯の植物は慣れていませんから見るものすべてが新しい出会いに近い状態です。このイヌガシもその代表的なもの。葉はクスノキ科のシロダモに近いのですが「カシ」の名がついています。赤い花のクスノキ科の種はもちろん初めて。興味津々です。
イヌガシは雌雄異株。この株は雄花を持つ雄株のようです。比較的高木になる木で花が目の前で見られるのは浄蓮の滝の傾斜のある遊歩道の脇に生えていた為で花の咲いている枝を手で引き寄せて写すことができました。花は咲きだしたばかりでまだつぼみの状態の株も散見されましたから実にタイミングの良い開花株に出会ったことになります。
河津町に入る前に修善寺から浄蓮の滝に寄り旧天城峠を越えて行きました。前日の悪天候から何とか解放されて一時の散策を楽しみました。早春にもかかわらず山麓は暖帯林が広がり高度を上げると新潟では見られない林が続きます。